お会いする。

先週の事、住宅を建てたいという方とお会いした。アトリエでなら、あれこれお話しつつお見せ出来るものもある。訪ねて来てくれるのはとても嬉しい。

設計とは、と言う話を実際に終えた実施図面や監理時の図面やスケッチ、計画時のスケッチの他、手元にある模型などでお話が出来る。知識として持ち合わせてはいても、実際に手にしてみて頂ければ、どんな仕事があるのかを実感して頂けるのではと思う。

図面の厚さ、細かな内容はmm単位でもあるし、書き込みもあればスケッチもある。その図面の重さを感じて頂き、設計の仕事を実感を伴い理解頂けたならと願う。

この日、少し熱く語ったのはスケール感覚についてだと思う。1/30スケールの部分模型が手元にありお見せした。それが何故必要なのか?模型はプレゼンテーションにも使う。その際は綺麗な模型になる。間違うとミニチュアで模型そのものが目的になってしまうこともある。部分模型はもちろんクライアントに提示したものなのだけれど、それ際は既にクライアント自身も勝手を得ているので、実感を持ってみて頂けて・・・いたのではと思う。テレワークは様々なアプリでネット経由して対面は出来るのだけれど、それはあくまで平面的に過ぎない。空間は実際に身の回りに存在するリアルな世界だ。これを実現するには相似する模型が今もやはり最も確かな確認手段になる。パースは所詮は絵なので何とでもなってしまうし。

パースで再現出来ないものは実際に再現するのは難しい。より難しいのは模型。模型で再現出来なかった空間は現実にする事は奇跡を期待する以外の方法がない。模型で実現出来る空間には実現の可能性が高い。具現出来るかは現場監理での必死の仕事は欠かせない。

設計の手間を省くなら、〇〇LDKと、部屋数や部屋の大きさを示すのが早い。世の中の住宅の殆ど全てはこの理解で出来ている。マンションのプランはこれがほぼ全て、戸建ての場合も敷地にどう収まるかだけ考えて出来上がってしまう。

空間を考える設計には様々な可能性がある。若いご家族なら、少なくとも10年毎に住まう人の構成や要望が変遷する。部屋数で対応する事は出来るものの必然的に建築時にすべてを用意するので大きな規模になってしまう。後に最小となる際は多くの部屋が使われずの間になる。手入れするのに持て余すのが世の常だろうか。

これまで設計してきた住宅は、その10年毎の変化に空間で対応できるように考えてきた。どの住宅も住まう人と対話し一緒に悩み考え抜き得た個々の答えが結実している。家族が居て親や兄弟との同居を想定しても、後に夫婦二人等最小構成も踏まえた空間を創造するのは実に難しい。答えはこの世に無いので探し創らなければ得られない。

加えて、街並みとどう呼応するのか?様々なスケールで捉えるなら設計はより困難になるのだけれど、様々に検討が出来ればより間違いのない建築を得られるのだと思う。面倒だから考えず見なかった事にする設計では勿体ない。敷地の特性を最大限に活かす設計が必要だ。無理をすれば浮いてしまうし、考えなければ持て余してしまうのだし。



設計業務は首尾負う事が出来るものの、不動産や融資については得意分野とは言えないのが少し苦しいだろうか。不動産、つまり土地は正に出会いだ。逃せば心に残ってしまう。出合った際に手に出来るか、正に出会いが勝負になる。具体的にはしないまでも、悩む土地があれば相談にのる事が出来る。自分が設計するならどう手掛かりを得るか?実際に見る事で実感をお知らせする事が出来る。過去にそういうお手伝いをしている。この敷地なら?どの方向を眺め、敷地の心地よさそうな場所をどう使い、どう住まおうか?提案が出来る。過去事例から白地の敷地に効率よく納まるプランを当てはめて始める設計とは根本的に違う。唯一の解を探そう。

融資・・・何が無くともここは押さえなければ始まらない。現金で建築出来るケースは稀、用意出来る資金を甘くして夢を描けば後でがっかりしてしまうし、過小に評価しては計画が後に大きく揺らぐ。この日は、幼馴染を頼る事にした。道内大手の銀行の住宅融資の席に居る友人に相談し、訪ねて来られたご家族を紹介する。希望の融資を得るには何が必要で何を準備すべきか、具体的に知らせて頂ける様にお願いをする。大手のハウスメーカーなら融資そのものを商品として取引するところもあるので、その意味でもハウスメーカーは特化し勝手は良いのだなと思う。その道筋に乗らず外れるケースもある。しがらみなく先ずどのような可能性があるのか、知る事から始められるメリットは大きいと思う。

その友人とは幼馴染で、彼は実に字の綺麗な人だ。習字は上手いけれどノートの字は汚い友人はあるのだけれど、とにかく描く字が綺麗で今も識別が出来る人は彼だけだ。近年は年賀状が印刷になったので見る機会がなくなり、少し悲しい。「あ」「わ」「め」などの大きなカーブのある「間」が非常に心地良い字を書く。私からの依頼なと快く相談に乗って頂いた。今のご時世、電話での応対になったのだけれど、1時間半ほど要したらしい。大筋は聞いたものの個人情報もあるので内容は知らず。あとは訪ねて下さったご家族の判断と行動に先ずはお任せしよう。話が進むのか、進むならそれが何時になるのか、まだまだ分からない。でも、必要に応じて相談にのる事は出来るので楽しみはとっておこうと思う。