模型を使い検討をする・・・写真が見つかる。

ある検討をしていて画像を見返す。とある設計で製作した模型の、開口部の比較画像を見返した。再会したわけだけれど、この時に大いに悩み、時間を使い製作し、丁寧に比較していたのを改めて知る。

隣地、外構を考慮する。採光、眺望、通風を担う南側の開口のデザインを思案している。2階は背の高い空間で、異なる居室がオープンに連続している。

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空間全体に、先ずは均質に採光が出来、通風が可能になる開口プランを考える。開口は1200mm×1200mmの大きな窓が4つを均等に並べ、左端は用途に合わせ別とした。

普通なら?部屋に窓一つだろうから、この並びだと4部屋ありそうな2階に見える。けれど、実際は細切れの部屋は用意していないので、住宅でこの窓なら不思議には見える。

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室内側からも覗けるように、模型は壁が取り外せる。別の開口の壁面を外からも内からも検証する事が出来る。当時、クライアントに提示し一緒に考える事が出来た。

先ずは文句のない室内空間の手に入る事が確認出来た。

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外観の映えだけを考えると、大きな窓は魅力的にみえる。リビングにはコスト増になるものの、組み合わせの連窓を用い大開口を設ける。均質からメリハリへの変化が生まれる。

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写真の右上はリビング・ダイニングスペースとなる。家族の集う場所が特に明るい。外構をコントロールできる環境なら悩まずに、この方向で様々を試したに違いない。少なくとも、可能性を知る上で一度は試したいアイディアになる。

実際はお向かいには隣家があり、見える対価は覗かれる事、現実には難しい。レースのカーテンで終日覆うなら良いけれど、窓を開けたのに隠す為に塞ぐのでは本末転倒だ。

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これは採用案に近い。均等ではなくリズムを付けた開口のデザイン。外を眺められ、寒気が出来、採光が出来る上に、外から丸見えにはならない調子を考える。

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リビングは、キッチンの壁面への明るさ、ダイニングの明るさなど気配りを果たしている。その上で他のスペースを網羅している。


このような検討はパースでも出来るのだけれど実感は薄い。この模型は1/30スケール、小規模の極小二世帯住宅でもあり、実体験として空間を体感する事も重視して大きな模型を製作した。その上で窓を眺めた。夜なら照明をあれこれ当ててみて採光状況も試す事が出来る。もちろん、模型の前に図面では数多くを試みていて、それを模型で試し・・・という作業だった。


自分の設計は圧倒的に模型派に違いない。プレゼンテーションでパースは製作するけれど、検証は物理的に行う。模型と言う小さな空間でも再現出来る事はげ具現の可能性が高い。パースではどうとでも出来るけれど、模型で再現出来ない空間を具現するのは極めて難しい。特に自然光で創る空間は。

嘘をつかない実際の空間、設計者の意図など微塵も汲んではくれないので、挑むのみ。挑むという初心を、見返した画像から心新たにする。