Compact house 考 リビングで大の字になれる家を考える ㉑ 洗練或いは修練。

設計の際はとても集中をする。頭の中に徹底して建築全てを創り上げる。
平面、断面、矩計、ディテール、展開を合致させ、プロポーションを整え、敷地との呼応を考え、周辺との親和までを求める。平面や断面の検討では使い勝手や収納等ももちろん考慮する。それを図面に描き出すのが『実施設計』と言えそうだ。

そこに至るまでには様々な問題が生じる。線が錯綜し整理が出来ない部位は必ず気に障る。そういう部分を調整し徹底的に排除する。そこには相当な時間を要するのだけれど、最後まで諦めずに取り組めば大きな成果を得る事が出来る。

・・・この考察では、そこまで時間を掛けては居ないシミュレーション。考え始めてから既に半年を超えているだろうか。けれど、考えた建築がどういう内容かを検証するべく、ここまで出来た!

その設計の過程を、Compact house考⑮の時のモデルと現モデルを比較してみる。

f:id:N-Tanabe:20210528152858j:plain
当初モデリング時の3Dモデル。

f:id:N-Tanabe:20210528152941j:plain
現時点での3Dモデル。つまり修正した後のもの。

■修正ポイント①
間違い探しの様になるものの、実は結構な違いがある。中央の本棚塔と右手DOMA側の掃き出し窓、塔左のアトリエの窓、当初はその高さがバラバラであった。
塔が割と高く聳えてしまい威圧的、奥のベッドスペースを塞いでしまっていた。各々高さがまちまちなのでバラバラと汚く見えてしまう。つまり、気に障る。

■修正ポイント②
パース左手の高窓を調整する。DOMA側の窓を相当大きく確保し、庭との一体感を考えたものの、光が強過ぎ明暗のコントラストが強くなっていた。高窓を大きくし光明のバランスを計る。

■修正ポイント③
アトリエと寝室の床レベルを調整する。当初はテーブル面とDOMAのレベルを合わせていたものの、沈んで見えた。床レベルを上げ、テーブル面とリビングのフロアのレベルを揃える事にした。床が連続する様でより広がりがあるよう感じられる。

■修正ポイント④
あらわしとした構造の梁形状を調整する。当初モデルではやや武骨な印象が残り、重さが感じられる。下端を絞り溝を掘り空間に対して軽量化を試みている。構造の重さは、この空間には似合わない。構造のリズムを軽快にインテリアに持ち込めたならより良い。


別アングルで眺める。

f:id:N-Tanabe:20210528151549j:plain
当初モデル。

f:id:N-Tanabe:20210528151608j:plain現モデル。

先の通り主に4つの調整を続けて今に至るモデルは、テレビ台やリビング床した収納を加えるなど、より作り込んで複雑になっているものの、武骨さや重さはなく軽快感が感じられる。右手奥に設けてた北側高窓はキッチン廻りの清潔感を考える上でも重要になる。バランスなので南側と比べて考える必要がある。

ちなみにこの白モデルパースは、反射光より直達光を強く表現しているので、北側高窓の天空光採光の表現は十分ではありません。それは次以降、別アングルのパースが出来次第、案内をしたい。

きっと、間違い探し程度の違いにしか見えないのではないかとも思う。ただし、これが大きな成果に繋がる。長く住まう住宅なら、何処までも丁寧に将来において不満のないスタイルを求めたい。


【Compact house 考】過去の記事一覧です。