明けましておめでとうございます。

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昨年は11月直前のある朝に部屋に迷い込んだ、指2関節に満たない小さなイトトンボ。とても印象的な出会いだった。年を越そうか迷った末に迂闊にも羽化してしまったのだと思う。迂闊?活路を見出し挑戦したのかもしれない。外を見渡しても仲間の影は欠片も見えなかった。迷い込んだのではなく、寒くて来たのかもしれない。

寝ていた私は羽音に起こされる。煩い蠅でも、危うい蚊でもない羽音に。あれ?窓を少し開けて寝てしまったんだったろうか。

彼等の飛行能力からすれば間違う事はなく、意図的に侵入している。ヤンマ等の高速系とは違い、実に遅く緻密に飛ぶ事が出来るタイプだ。本来なら草藪の中を縫うように飛べるので、締め忘れた窓など全く問題にはしない。

既に日出は南側からと言って季節、陽を浴びて輝く型ガラスを背に、その桟に掴まり止まっていた。寝ぼけ眼でカメラを構えて撮る。

羽が綺麗だ。あまりにも小さいのに、信じられない加工技術で得られた造形に驚くばかり。羽の骨組みは太さに違いがある。透明な膜は実は山折り谷折りでフラットではなく起伏がある。寧ろ、波打つかの如く。僅かに色づいていて、既に外は枯葉て灰色の世界を少し和ませる程に綺麗だった。



今在る自分の境遇を思えば、このトンボの挑戦は目に眩しい。小さい故にライフサイクルは早く選択肢は多く、天敵もライバルも少ない厳しい季節に挑む。・・・きっと一緒に産卵された兄弟には年を越したのは多く、馬鹿なやつ!と思われていたかもしれないけれど、讃えたい。


2022年元旦。