寝正月はテレビと一緒かな。

夜は自分の時間だ。これは昔からの習慣で、忙しい時でも寝る前には自分の時間をつくり・・・大抵は飲んで過ごし寝てしまう夜も多いのだけれど、お正月だけは無制限だ!多分。その時間を読書に使えば良いのにとは思う。

何をしているのか?と言えば多くはプラン制作だ。敷地は任意を想定するので周辺環境への対応は考えず、プランの可能性を探る事に徹する。今も幾つかを温めている。一年以上前に取り組んだ計画案を見つけたのが少し前の事、改めて可能性を探りだす。


25坪に満たない小さな住宅を考えていた。2階建てをどう低く設えられるか?複雑な屋根になりそうで断面計画に進めず折れた案だったのだけれど、3Dモデリングでアレコレと試し粘り、思いついてしまった。かなり簡単な形状ながら斜めに切り落とす事で達成が出来る。見た目には2階建てにも見えず、ヒューマンスケールの遊具の様。

断熱仕様は高く壁も屋根も相当な厚さを確保しつつプロポーションを求める事が出来そうだ!と、もう一歩二歩進めたい衝動に駆られる。

こういう取り組みがその後に実現される事はない。実際の設計では敷地と周辺環境が強く作用するので当然なのだけれど、解き明かす上で「術」になる。少なくともヒントになる。

・・・お正月の間に整理出来ないかな~と願いつつ過ごす。

 





さて、何処へも行かずの寝正月の今年はテレビを良く観たので感想日記を。

■発掘ロストワールド 恐竜の聖地ゴビ砂漠
北大の小林教授の、モンゴル発掘調査の同行番組。発掘ハンターではなく研究者としての取り組みを垣間見ることが出来た。

場所が良ければ、ある程度の訓練と慣れがあれば恐竜の化石に出会う事は難しくなさそうに見えた。重要なのは、それが自身の研究に必要かどうかを見極める事に違いない。限られた調査時間内で間違えたなら、ただ発掘しただけになってしまう。

アポロの月面調査で宇宙飛行士は月の石を持ち帰る任務があった。限られた時間とスペースに何を積むか?手あたり次第では価値は乏しい。必要なのは星の成り立ちを明かす古い石だった。宇宙飛行士は地質学を勉強し月面を想定した場所で実践訓練し、意味のある石を探せるようになり、見事に成果を持ち帰ったらしい。。

砂漠の表層に現れた化石達の中からどれに時間を使うか?彼の教え子やモンゴルの専門家を交えた専門家集団は的確に判断し、これをと決める事が出来ていた。初見でどの恐竜のどの部位かを見抜けるようだ。持ち帰った資料はクリーニングに数年を費やす事もあるようで直ぐに研究対象とはならないらしい。何とも気の長い調査だけれど研究に必要なピースの発掘探求への凄みを見せつけられる。

『価値』創出こそが研究の成果、綺麗な化石を発掘して高く売る事が目的なら荒らすだけで楽だろう。卵の破片の化石からも様々な推測が出来、足跡化石の状況から生活スタイルの推測も可能、恐竜大繁栄の礎となったはずの、それ以前の世界を解き明かす未だ知られていない彼等を探る冒険はあまりに魅力的で、途方も無い。タイムマシンで実際に検証しない限りは世代を超えても終わる事の出来ない仕事を見せられた。


■超進化論(1)植物からのメッセージ
少し前に鳥が文法を持って会話する、という番組があった。そこらに居るシジュウカラなどのカラ類数種の事、鳴いているのではなく会話しているらしい。驚いた。何処に餌がある!天敵(種類別)が居る!などを適切に伝達する上に、敵がいるとそそのかして餌を独り占めする輩までもいるらしい・・・。

この番組では植物が会話していると言い出す。実に悩ましい。森の中で一本の木の葉を全て半分に切り落とす実験は興味深い。害虫に襲われた状態を作り出した時の周囲の木の状態を観察する検証実験から核心に迫る。フェロモンなのか微量の化学物質を放出し害を及ぼす虫が居る事を周囲へ知らせているらしい。時には天敵となる虫や鳥を呼び寄せる対応までも果たしているとか。

何気に見る木々や森は、実に騒々しく会話を交わしている可能性がある。コミュニケーションとは言葉や身振り手振りではなく、些細な分泌物の臭いで達成できるのかもしれない。人が表情を伺う以上の繊細な方法を文字も使わずに他の殆どの生物種が既に完璧に使っていたとしたら?人間は落ち込むだろうな。最も不器用なコミュニケーションしか出来ない集団だったのかと。


■超進化論(2)愛しき昆虫たち
5億年前に登場したらしい昆虫は4億年前に羽を獲得し地球上で初めて飛ぶ生物となる。完全変態は3億年前だったろうか。蟻の様な社会を構築する昆虫は1億年だったか5000万年前に登場した?だったろうか。6000年前に恐竜が絶滅する頃には既に今居る昆虫達は概ね勢揃いしていたようだ。人間?30万年の歴史しかない上に有史とは精々5000年と桁が幾つもまるで違う。

完全変態とは幼虫、さなぎ、成虫への変態。さなぎは特に謎の過程で、一度体をどろどろに溶かし再構成する。その過程を高精度に3Dスキャンしていたりした。飛翔する昆虫の羽は鳥に比べると極めて小さい。ただし羽ばたきはは1秒間に数百だったか、ひねりを咥えるもので工学的に正しく、高度な飛翔技術を得ていると案合いされていた。

超進化・・・「超」?ではあったけれど、かなり突飛な話かと危ぶみたくなる程の内容に見えたけれど検証が進めば近い将来は、植物が会話するのは当然であり、昆虫の完成された生態が如何に巧みに自然を形成しているのかが「秩序」だと学ぶのかもしれない。

ある種の蟻は、「アリの宝」と呼ばれる自分では移動する事もままならない昆虫と共生する。地中で何かの根に運ぶと、食した後に糖分を分泌する。それが蟻の食料となるらしい。蟻が巣立つ際は女王蟻が生まれるのだけれど、彼女は巣から一匹だけ「アリの宝」を咥えて一緒に旅立つのだそうだ。どうしてそんな生活スタイルに至ったのだろう?

秩序ある完成された社会を持つ蟻、ある種は共生を前提とした生活を送る。経済や政治、宗教と様々に生み出しては絡み歪み、殺し合いまで平然としてしまう人間は知性的? 植物とも会話出来る知性ある宇宙人が訪ねて来れば、対話すべき優先順位として人間は相当に低そうだ。種の価値において技術は一つの評価基準に過ぎず、少なくとも豊かさは計れない。


■白銀の大縦走 北海道分水嶺ルート670キロ
北から南へと北海道を東西に分断する中央に聳える山脈の峯を歩く冒険は、実に興味深かった。その峯の西へなら日本海、東へならオホーツク海、南なら太平洋へ、積もった雪が融けると流れ出す。道なき道は夏場は藪の中、出立は遅い冬だった。この北海道に、ああまで過酷で荘厳な風景があるとは想像していても、まるで知らない世界だった。2ヶ月程だろうか、冒険は自身の足で歩む。面白い事に単独踏破ではなく、多くの人の協力を得て。同行取材班も大変だったのだろうな。少し前に書いた、白滝の国宝の黒曜石の石器群も得た人達は分水嶺を越えている。1万年以上前の人は既に、どこをどう超えると安全なのかを知っていればこそ!なのだろう。道も車も使わずなら現代の北海道ですら、生死を問う大冒険だった。こうして歩いた事が人に伝わる事は大切だ。南から北へ行くのが良いのではなかろうか?


映像の世紀バタフライエフェクト 「ロックが壊した冷戦の壁」
以前に観た番組を組み合わせたのかな?ニナ・ハーゲン、デイヴィッド・ボウイ、ルー・リードが登場する。初めて手にしたルー・リードを初めて知ったのはヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコーだった。彼がチェコの政治に間接的にか精神的には主体的に関係し、かの国の大統領と交流があったのは知らなかった。ホワイトハウスで演奏し、最後にサインをねだられたとか。ボウイは好きで聞いているけれど、ドイツ時代の3部作は東西を隔てた壁が除かれる時期とは。ニナは知らないアーティストだけれど、東側出身にして長くドイツの首相だった女性が退任の際に演奏される一曲に選んだのが東側出身のニナの曲だった。

自分が楽しんだ音楽が実は、歴史を動かす一つの切欠だったのかもしれない。どこまではかは計り知れないけれど、ひょっとすると大いに原動力となったのかもしれない。それが変え難いと思われる現実の壁を打破してしまう。

歴史で学ぶ様々な革命の類は教科書に記された事しか知らない。でも実際は、チェコの後の大統領が若かりし頃に持ち帰ったレコードや、壁の向こうへスピーカーを向けたボウイのライブに起因した様な事が切欠だったのかもしれない。そう思うと、ただ楽しむだけでなく、自由に選んで楽しめる事の大切さを思う。

他にも見た気がするけれど、寝てしまったか、覚えてないな。