■前提条件
二人住まい程度・・・人が突然に訪ねて来る事はそうはないはず。来る人は心許せる人、来客時は掃除する余裕があるはずと考えた。
家電が露出する事を前提としてプランする。戸建て住宅を設計する際にオープンキッチンを用いる際は、必ず収納スペースとセットにする。急な来客時に一気に隠せてしまう仕組みがあれば安心だ。そのような備えがなければ竣工時には綺麗なLDKも実は、生活感に塗れてしまう。
ただ、覚悟があれば?と、そこは都合良く考え思い切った。
キッチンは高価な造作仕様とする。食器は引き出し収納、家電は綺麗なものを最小限にする。住まう人が少なければ量も少ないのだから。少なくとも今の私なら、何とか出来るかなーと勇気をもって。
■ドマ
玄関からバルコニーまでは『ドマ』を設ける。音を考えると下地を設けタイル張りとするのが現実的かもしれない。水を撒き散らす事は出来ずとも多少は許容できる仕上として、ちょっとした広い玄関程度だけれど、なかなかに良い。今の私なら、自転車を置くだろうな。キャンプ用の椅子を置いて靴のまま寛げる場所としても置きたい。
■収納塔
室内は中央に収納塔を置いてLDKと寝室が分ける回遊動線で結ぶオープンなワンルーム構成だ。先のプランのように家電類を隠す壁を無くしたのでスッキリした。(それ故に覚悟がないと室内は生活感に塗れる危険性はある。雑多になってはね。)
■成果
面白いのは、ドマがキッチンを越えて両端のバルコニーまでを結ぶプランが出来た事。ドマに対し一段高いリビングと寝室スペースとを明快に出来る。これを収納塔が区分してワンルームながら二つのスペースを明瞭にしている。
この後にパースまで製作するのだけれど、その興味はコレ故の事。
■室内物の高さ
収納塔は天井までの壁で覆わない。FL+2100程度?として天井に到達せずに空間を繋げ、その頂部に照明を灯せば『間接照明』が出来、通常はそれだけで室内は困らない!必要な装備がそのまま照明を兼ね、空間をも制御する。見事ではないか!
と言う事で、リビングと寝室を一段高いフローリング仕様の床面とし、ダイニングテーブルを高さ700mm(私の好みは720mmですが)に想定が出来た。キッチンは作業面(ドマ)から高さ850mmの標準としつつ、リビングからは700mmに抑える事が出来る。椅子生活でなら一つの基準となる高さ。このLDKの広さならソファを置いても圧迫感のない高さだ。
壁を立ち上げ始めると一々が空間が閉ざし、背の高い家具類は空間を圧迫する。高さを抑えることが出来れば遮るものがなくなり、得た空間に広がりを与える事が出来る。
■プランの洗練
検討したのはLDKを完全に矩形に整える事。収納塔と玄関脇の収納の壁位置を揃え、寝室とトイレはやや遠くはなるものの、そもそも小さな室内だと水廻り位置を調整し、トイレは脱衣場に設ける事とした。キッチンはもっとサイズを大きく出来るので、炊飯器等はカウンター下に収納、ゴミ箱は中央テーブル下に・・・
現実的に考察をするので収納内も精度を上げる。収納を全て造作にすると高価なのでとりあえず、得意の無印の収納箱を想定して量を想定、玄関に近いので靴収納も含める事とした。
載せたプランは実は更に発展し、洗練を試みるのに毎夜夢中になってしまった。結果は誤解を招くかもしれないので、ここには載せません。興味を覚えたなら相談下さい。こっそり、お見せします。※後のパースは、その平面を使っています。
■雑感
高コストとなる部位を徹底して省きだし、ロールスクリーンで仕切れる部位はそうし、水廻りのみに建具を一本、浴室はユニットバス、洗面台は既成のシャンプードレッサーでも良いか?などなどと手を加えてみたり。
初めて中古マンションのリフォームを試みているのだけれど、決まったスペースを如何に効率よく再構築するか?考えるのは楽しい。
【マンションのリフォーム】記事一覧
①『観察』
②『ドマの試み』
■③『思い切る』
④『パース』
⑤『空間試作』
⑥『office』
⑦『徒然』
⑧『寛ぎの空間』
⑨『回遊プラン!』