さて、エスキースを始める。
敷地に建築をどう配置しようか?
お寺建築を「本堂」「納骨堂」「庫裡」に大別し、
それらのヴォリュームをどこにどう配置しようか?
既にベースとなる建築規模は把握しているので、
これを基本としつつ・・・
数学の幾何学で補助線を引いて理解をするように、
先に考えた計画を下地にして、作為、無作為に
あれこれ引いてみたりして過ごす。
敷地を使い切るにはS造の規模では難しい。
広い敷地にポツンと立つように見えてしまう。
木造にすると単価を下げ規模を大きく出来る。
準防火地域でもあり悩ましい制約はあるものの、
渡り廊下で結び幾つかの棟を用いて考えてみる。
適当な補助線に当たりを付けて整えてみる。
建物を塗りつぶしてみたり、
敷地の方を塗りつぶしてみたりして、
視点を変えたり確かめたりしつつ。
左手は国道、下(南側)に町道がある。
町道の方が長く接しているものの、
国道の方が圧倒的に人目があるので、
主たる顔は国道側に、主となる車での
アプローチは町道側からと考える。
国道側は賑やか、右手(東側)の方は
やや静かな場所となるだろうか。
敷地の中でも特性は異なるので、
大別したヴォリュームを合わせて配置、
先の補助線の沿って整理をすすめる。
まとまりそうな気配はあるものの、
東側に配置したのは庫裡、これを
どう見せようかは悩ましいだろうか。
基本の3つのヴォリュームの配置構成は
維持しつつ、幾つか線を加えてみる。
お寺と庫裡に別けてヴォリュームをまとめてみる。
ぐっと絞ってスレンダーに整えてみる。
プロポーションの良さは欠かせない。
再び、線を増やしたり違う線を加えたりしつつ。
大別したヴォリュームに実際に必要となる諸室を
加えつつ具体的に整えてみる。
線を一度整理してみる。未だ洗練には遠いけれど。
線を曲げて柔らかくを試みてみたり。
このレイアウトは使えそうだと感じただろうか。
敷地は3つ角を取られたオセロに違いない。
凸凹の北側は接道はなく、眺望があるわけでなく、
何とか使いきれる構成は可能だ。
と言うことで、一案がまとまりそうな手応えが
あったので一度壊して別の配置を考え出す。
敷地と建築のヴォリュームのバランスを感覚的に
把握でき始めてもいて、別の補助線を試すのも
結構思い切って引ける、引いてみる。
境内を南側に、主には駐車場にはなるとしても、
包み込むか、引き込むような円弧を考えた。
バラバラに諸室を並べたい衝動に駆られるものの、
コストは高い。諸室を理解しつつヴォリュームを
整理してみる。
でも、やっぱりバラバラにしてみたい。
隙間の空間が面白そうだし。雨雪は心配だけれど。
諸室を具体的にしつつ、ここでももう一案。
二つほど使えそうな考えをエスキース出来た
・・・かな?
敷地をおとした白紙を用意して持ち歩き過ごす。
二種類のスケールを用意をして、小さな方で
様々描いてみて、使えそうなパターンを大きな
方で具体的に描き込んでみたり、それを
CAD上で線を当て検証しつつを繰り返し過ごす。
この間は約二週間だったろうか。
思索し試しを繰り返す中で、手がスケール感を
覚え始める。これが大切かもしれない。
計画の全容をまな板の上に載せる具合だろうか。
載せられず溢れていたり、こぼれては困る。
理解が進み深まれば、この後は如何様にでも
試せるので、後は時間が許す限り、様々な
パターンを試す事になる。
つまり、最も落ち着き在る佇まいを探し続ける。