光明寺設計物語【2017.03.03~】エスキース

さて、エスキースを始める。
敷地に建築をどう配置しようか?
お寺建築を「本堂」「納骨堂」「庫裡」に大別し、
それらのヴォリュームをどこにどう配置しようか?
既にベースとなる建築規模は把握しているので、
これを基本としつつ・・・

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数学の幾何学で補助線を引いて理解をするように、
先に考えた計画を下地にして、作為、無作為に
あれこれ引いてみたりして過ごす。

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敷地を使い切るにはS造の規模では難しい。
広い敷地にポツンと立つように見えてしまう。
木造にすると単価を下げ規模を大きく出来る。
準防火地域でもあり悩ましい制約はあるものの、
渡り廊下で結び幾つかの棟を用いて考えてみる。
適当な補助線に当たりを付けて整えてみる。

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建物を塗りつぶしてみたり、
敷地の方を塗りつぶしてみたりして、
視点を変えたり確かめたりしつつ。

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左手は国道、下(南側)に町道がある。
町道の方が長く接しているものの、
国道の方が圧倒的に人目があるので、
主たる顔は国道側に、主となる車での
アプローチは町道側からと考える。
国道側は賑やか、右手(東側)の方は
やや静かな場所となるだろうか。
敷地の中でも特性は異なるので、
大別したヴォリュームを合わせて配置、
先の補助線の沿って整理をすすめる。
まとまりそうな気配はあるものの、
東側に配置したのは庫裡、これを
どう見せようかは悩ましいだろうか。

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基本の3つのヴォリュームの配置構成は
維持しつつ、幾つか線を加えてみる。

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お寺と庫裡に別けてヴォリュームをまとめてみる。

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ぐっと絞ってスレンダーに整えてみる。
プロポーションの良さは欠かせない。

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再び、線を増やしたり違う線を加えたりしつつ。

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大別したヴォリュームに実際に必要となる諸室を
加えつつ具体的に整えてみる。

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線を一度整理してみる。未だ洗練には遠いけれど。

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線を曲げて柔らかくを試みてみたり。
このレイアウトは使えそうだと感じただろうか。
敷地は3つ角を取られたオセロに違いない。
凸凹の北側は接道はなく、眺望があるわけでなく、
何とか使いきれる構成は可能だ。

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と言うことで、一案がまとまりそうな手応えが
あったので一度壊して別の配置を考え出す。
敷地と建築のヴォリュームのバランスを感覚的に
把握でき始めてもいて、別の補助線を試すのも
結構思い切って引ける、引いてみる。

境内を南側に、主には駐車場にはなるとしても、
包み込むか、引き込むような円弧を考えた。

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バラバラに諸室を並べたい衝動に駆られるものの、
コストは高い。諸室を理解しつつヴォリュームを
整理してみる。

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でも、やっぱりバラバラにしてみたい。
隙間の空間が面白そうだし。雨雪は心配だけれど。

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諸室を具体的にしつつ、ここでももう一案。
二つほど使えそうな考えをエスキース出来た
・・・かな?

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敷地をおとした白紙を用意して持ち歩き過ごす。
二種類のスケールを用意をして、小さな方で
様々描いてみて、使えそうなパターンを大きな
方で具体的に描き込んでみたり、それを
CAD上で線を当て検証しつつを繰り返し過ごす。

この間は約二週間だったろうか。
思索し試しを繰り返す中で、手がスケール感を
覚え始める。これが大切かもしれない。
計画の全容をまな板の上に載せる具合だろうか。
載せられず溢れていたり、こぼれては困る。

理解が進み深まれば、この後は如何様にでも
試せるので、後は時間が許す限り、様々な
パターンを試す事になる。

つまり、最も落ち着き在る佇まいを探し続ける。