また冬の森へ。

進めている計画、多岐に渡るヴォリューム計画から、
数案に絞り確認審査機関と協議の末に回答を得て後、
最も面積効率が良く、全体のバランスを整える事の
出来るものへと作り込んでゆく段階に至り、余裕を
削り落とす中で一案に絞り悩み過ごす、夜な夜な。


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週末も仕事はしていたものの、何処かへ行きたいと、
誘われ、「息抜き」のつもりもあるのだけれど、
実際は息抜きでもなく、趣味なだけに緊張もする。
もう綺麗な雪は望めないものの、出来れば雪のある内に
まだ通いたい。草葉は無いし見えないものが晴れ晴れと、
見える気がするし・・・気のせいかもしれないけど。


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寒気が入っていたのか、ここ数日は落ち着かない空模様、
晴れたかと思えばあっと言う間に曇り、後に晴れたり。
ジタバタと空模様を伺い訪ねると、結局は雪であった。

ボヤーと陰影の無い森の中、写真には辛い状況だ。
ではあるけれど、霞む世界が撮れるらしい。面白い。
次から雪の日を選んで行くかもしれない。来年には。
夏は草葉、特に笹に覆われて歩み行こうとは考えもしない
森の中も、冬は入る事も出来そう。

開拓期以前はきっと、夏は川筋を伝い、冬は歩いたはず。
でも、歩く先がこんな風景なら彷徨う事になりそうだ。
それが夕暮れ前なら絶望的な風景に見える。四方を見渡し、
こんな風景で遠くが白く霞んで奥行きが見えない世界・・・
陽は隠れていて方位も分からず、どこまで歩いても白い
霞が晴れる事無く夕暮れに解け始めたらと思うと、怖い。

設計も、場合によっては似た場所に陥る事は珍しくない。
ただ、類型はあって、住宅はこちら、福祉施設はこっち、
集合住宅は向こうへ、という風に矢印付きの立札はある。
規定路線を歩くなら、今は道に迷う事はない。でも、
それでは決まったものしか得られないかもしれない。

で、いつも、こういう風景に覚悟して飛び込む。
こっちにあるはずだ、向こうは開ける筈だと確信して。
そうして経験を積み上げ、一歩二歩とリスクを負わずに
踏み込み成果を得る術を見つけてゆく。そう努める。
今はどんな設計でも、そう取り組んでいる。
間違って規定路線に近づいたら、あ!間違ったと再び
分岐に戻り違う道を探す。
何時しか定めらた道は不要になる。
今度はどうやって道を作るか?を考えるようになる。

歩こうと思えば、歩けるのだ。たぶん。


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本当は影が白い雪面に映える写真を撮りたかったのだ
けれど、低く眺めると遠くが陰り、降る雪が写った。

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曇天の空の明かりは、指向性がなく間接的であって、
レフ版を使ったかスタジオで撮るかのうような優しい
光があるらしく、再び積もった雪が重く垂れかかる、
新しい松の木の枝葉の先端が瑞々しい。

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虫好きなので載せるけれど、気持ち悪いと感じる
人には迷惑な写真かもしれないかな?

冬でも虫がいる。上は「ユスリカ」らしい。
蚊に似ているけれどハエの仲間らしい。
成虫だ。この生き物は成虫は短命らしいので、
この時期を選んで羽化したのではと思われる。
蚊柱が幾つも在った。真冬ではなく、春近い頃の
暖かい日中に見かける。
生命維持には水分は必要、けれど凍ると破裂する。
氷点下にはならない頃のギリギリを選んで羽化し、
蚊柱なんかでペアを見つけて子孫を残す選択か?
今なら天敵も少ないので絶好の機会だけれど、
生命維持には最悪の手前の時期、チャレンジャーだ。
その挑戦が成就し、今に至る生き物なのだろう。
生命って凄い。

その下の小さな黒い点も虫だ。これは初めて見た。
数知れず通っている場所なのだけれど、行けば必ず、
何かしら見つけられるのだから引き出しが実に多い。
自分にはその全てを見る事は出来ないだろうな。

大きめの雪の結晶と比べるくらいの小さな生物は、
最初は蜘蛛かダニかと思われた。けれど、良く見ると
3対の脚があり、昆虫である事が分かった。
頭部は大きく蟻かな?とも思うものの腹部には
何やら文様もあって、甲虫にも見える。
間違って雪の上に落ちただけかもしれないけれど、
良く眺めると結構な数が雪の上に居た。
彼らサイズだと雪の粒が巨大な石レベルの大きさで、
移動も困難に見える。この時期、活動のエネルギーと
なる樹液は、木々もまだ新芽を蓄えはするものの、
活発には動いていないと思われ、樹液を噴出すには
至らないだろうから、おそらく水分だけで生命を
維持する程度なのではと思う。暖かい地中に居る
生物はそれなりに活動できるかもしれないけれど、
無防備にも地上の、雪の上に出てくるからには
きっと分けがある。ユスリカ同様に天敵の居ない今、
子孫を残す活動の最中なのかもしれない。
甲虫なら腹部には羽が収まり飛べるので、案外、
暖かい日中には活発に動いているのかもしれない。
よく分からんけどね。

赤ゲラは二羽、眺めた。彼らは体も大きく、敵も
たぶん居ない。だから警戒もせずに盛大に大きな
音を立てて頭を樹にぶつけている。何か餌となる
生き物がその木の幹の裏側にいるのだろう。
その下には木屑が散乱していて、日差しを反射する
雪とは違い熱を帯びるので、そこが黒く沈んで雪面に
穴を開け始め、春を呼び寄せる。

きっと、この黒い小さな点の虫も、日中は陽の熱を
得て変温の体温を活動出来るだけ十分に温めるの
だろう。もしも白い点なら不思議な生物になる。
まぁ、雪面に白い点なら私が見逃すだろうけれど。


こう、長々と気付いた事を書き出すと言う事は、
つまり、今進めている計画に未だ彷徨っているか、
後は描き出すだけだ!と決めた時かのどちらかで、
実はどちらも似た心境に居る様で不思議。