【 森のエンガワ 】

【 森のエンガワ 】 project 2009
 下川町/Shimokawa  住宅/One family house
 木造2階建/Wooden architecture 2 stories 156㎡

あるコンペで取り組んだ計画案。エコ、省エネについての提案を考えた。実践ではなかなか出来ない事、ここでは断熱入子の構造を提案する。北国の住いは外皮となる外壁に断熱性能を持たせ囲う事が基本、気密・断熱性能が与えられる。現状の断熱先進事例はフラット35の仕様4等級、5等級を超えている。伴いコストも上がる。入子断熱構造は二つの断熱性能層を設け、建築は必要な最低限の断熱性能の外皮で囲い、その内に更に断熱性能高い室内壁を設ける二重構造としている。寛ぐような室温に敏感になる居室は厳重にし、移動等の空間は適度に性能を区分する事で、重点空間と区分し維持ランニングコスト、施工コストを抑えつつ快適空間を創造しようと試みている。

家全体が均質に暖かい事を前提とせず、必要な居室を確かにし、それ以外を必要なだけと考える事が出来れば実際は快適、楽しいのではと思う。玄関ドア一枚を挟んで室内と室外を極端に結ぶのではなく、徐々に移行する事で良く馴染む空間構成、断熱には不利になる大開口のあるドマ空間を許容しつつ、その奥に確かに守られる空間を設けている。昼間は開放し、寒くなる夜間は閉じる構成とし、一段断熱を下げた空間も基本性能は現在の標準的高性能な断熱空間とした。冷房を要する時期においても、空間をある程度限定出来れば負荷空間を減じランニングコストを抑えられる上に施工コストも抑えられる秘訣になる。何より、室内に寒さや熱さを許容しない完全密室よりも、性能一辺倒では閉じがちになる北方住環境をより柔軟に出来ればと考えた。性能追求ではなく、得た性能技術を使いこなす提案です。

代謝の落ちる寛ぐ空間は不足なく快適であって欲しいし、けれど、活動的になる場所は少し涼しい方が良いなと思う。廊下に出れば今日は寒いな、と感じる具合に。現状の性能でも冬季は昼間でも暑くなる。でも、夜は外気の影響を無視出来ない。断熱性能を求めるなら高性能断熱サッシでも外壁性能とは桁違いになるので、確実にするには窓を設けない方が良い。それは不健康なので、どうバランスするかがこれからの北方住宅のあり方、住まい方、住宅の在り様であり、挑んでみた。

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敷地は丘陵地、勾配に直行するように矩形を浮かし建築する。

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中庭コートからLDKを望む。

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南側はドマ空間。サンルームでもあるここは中間断熱空間。
グラスルーフはダブルスキンとし、ルーバーを組み込む。
陽射に平行にすれば日射取得を多くする事が出来る。

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グラスルーフのルーバーを陽射しに向け立て日射取得を減ずる。

 


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LDKの重点断熱域は断熱扉で閉じる事が出来る。


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