宮本武蔵

大変な事態となっていて、それを自分で解決は出来ず、人に助けを求めた。「私に出来る事なら」と快諾頂き・・・4カ月ぶりに髪を切った。
 
年三回で済むなら楽だなーと正直思うけれど、毎朝鏡に向かって「参ったな」と困惑する日々を送るなら、やはり切ってもらった方が楽かもしれない。今日は、乾かしただけで外に出て行ける程度に清潔感がある気がする。
 
以前話したのだけれど、逆に最も気合の入る髪型はと聞けば、それは例えばパンチパーマなのだそうだ。今は絶滅危惧種らしい。確かに昨今は見た事がない。する方もされる方も相当なテンションを要するのだとか。隙間一つ無く緩みを許さずに徹底的に巻き上げて行く髪型は相当なのだろう。想像を絶しそうだ。手入れも半端なく大変らしい。私のようなズボラの人だと直ぐにだらしなくなってしまうのだろう。たぶん、私がパンチパーマをしても街中を怖いものなしで闊歩出来るくらいのテンションを得られるに違いないけれど、手入れせずに1週間後にはだらしなくなり、極端にテンションが落ちてしまうのかもしれない。
 
ところで、ハサミ全盛はいつからだろうか。江戸時代は髷を結っていたのだろうけと、何時頃から西洋風の髪型になったのだろうか?一気に髪型変化を促すには施術出来る人が居なければならない。正しく普及するのは昭和なのだろうか?では江戸時代等はどう髪を整えていたのだろう?ハサミの様に切る道具は後発として、剃刀のような道具はあったに違いない。石器を使っていた頃ですら様々に使い分けられていて、皮を鞣す道具も個人が携帯する道具まで様々使い分けられていたのは数千年前から。数百年前の人達なら困らない道具を手にしていただろう。誰が髪を切っていたのか?母親だったりするのだろうか?案外、庶民の日常は容易に辿る事が出来ない。200年300年前の事なのに。
 
時代劇を見れば皆が整った髷を結っているけれど、あそこまで皆が整うのは相当な労力が必要に違いない。武士は身だしなみとして、毎朝相当な時間を割いて各人が整えたのだろうか?女性の髪形もそうだけれど、どうしていたのだろう。似たようなテンションの高い髪型で思えば、この髷を思い浮かべた。
 
武士の中には剃り上げる際に左右が揃わず、日に日に広がっている者もあったはず。或いは、曲がったままOKにするのも居ただろうし、ズボラで剃り上げが甘く産毛のあるのも居たに違いない。ははーと頭を垂れた一同を上から見る殿様が、あちゃー今日は駄目だわ!と思う日もきっとあっただろう。
 
上手く揃えられず右側が甘くなってしまい、人と会う際はその際を見られぬ様にやや右向きで応対し左側際だけをみせたりとか、きっと苦労したんだろうと思う。
 
最悪、そういうフォーマルなスタイルを諦めて「武芸に!」と髷を放棄する者も出たに違いない。宮本武蔵も実は、髷が上手く出来なくて結果、武芸を極めるしかなかったのが実話だったりする可能性を否定出来まい。その怠惰な具合を佐々木さんに咎められた話が伝説になっているのかもしれない。
 
もしも、時代劇の様な髪型が現実世界だったなら、恐ろしくおしゃれな人ばかりの世界だったのだろうと思う。そう思うのは、4ヶ月切らずとも何とか耐えてしまえる私が珍しいからなのか?私は、きっと迷わずに武芸の道を選ぶと思う。