百年記念塔チカホ展 その③ 展示風景


当日の展示風景。これは菅原さんから頂いた写真。塔はカッコ良い。子供が素直に興味を抱けるだけ十分にカッコ良い。意義や意味を探すのでなく、塔の存在に魅かれる素直さはデザインについて改めて学ぶ機会となった。

 


朝9時から5人で設営したのだけれど、照明完了まで1時間で終えられなかった。ぶっつけ本場ですし。けれど、照明を灯した瞬間から人が立ち寄って下さる。


朝10時過ぎの歩行空間であるチカホ、通路脇の展示スペースになど用事は無いはずだけれど、多くの人が興味を持って下さった。あれ?と気付けばふらりと立ち寄られ、子供が興味深く駆け寄り・・・綺麗!と眺めれば記念塔かという具合。


撤収間際の夜8時、連休最終日の夜にも関わらず足を止めて観て下さる方多し。


私自身は中学の時に初めて見て以来、百年記念塔は想いのある建築だと考えていた。建築を学んだ後はもちろん、昨年は実施図面から3Dを起こしてもいるので、揺るぎの無い信頼を寄せている。建築にどれほどの力があるのか?改めて知る機会だった。

例えば建築家による住宅は稀だ。大手ハウスメーカーがあり、地場の工務店がある。設計者を立てる建築は乏しく、質を住宅に求められる方は希少に違いない。チカホで『建築』を展示したとして、千人に一人が興味を覚え、万人に一人が寄ってくれるなら甲斐があると考えていた。ところが、照明後は直ぐに人が押し寄せて展示を眺めて下さった。

展示は一日のみではあるけれど練りに練る。記念塔、建築に興味を覚え見て下さる方が多い事実は嬉しい。展示では実写真は一枚も掲げずに模型と3D図案に限った。多くの人には記念塔デザインを初めて眺める機会に違いないにも関わらず、それが「百年記念塔」だと理解されていた。

「何これ?」等と言う人は無く、伺えば思い出や逸話を語られる方ばかり。北海道を象徴する歴史的な建築に違いない。継続する事で北海道の歴史を厚くする事に寄与出来るならと切に願う。


白滝の黒曜石が国宝となる報道以前に何度もブログでは案内し、2年前には技法までを紹介をした3万年程の北海道史、その時間系譜に今を加えられるならと思う。開拓期、アイヌ期や擦文時代、オホーツク文化、続縄文文化。1万年も続いた縄文時代から語り継ぐ北海道の人類史、痕跡を加える責務の一端を建築は担う。



■記事一覧
百年記念塔チカホ展 その① 報告
百年記念塔チカホ展 その② コルテン鋼と構造
百年記念塔チカホ展 その③ 展示風景