記念塔3Dモデリング

講義する。

記念塔の設計者である井口さんが亡くなられ、数日前に「偲ぶ会」が催された。幾つかの経緯とF先輩の想いもあり、発起人に名を連ねさせて頂いた。90名程が集う夜となり、様々な方にお会いする機会となった。私は隅っこで大人しくしているつもりだったのだけ…

百年記念塔チカホ展 その⑥ 感想

札幌駅と大通り駅を結ぶ地下通路のチカホを祝日に行き交う人にとって、これが何なのかは説明不要だった。図面に模型、始めて見る人がこれを「百年記念塔」だと知っている。建築家集団による展示、敢て写真を飾らなかった。それは昨夏のギャラリー展も同じく…

百年記念塔チカホ展計画⑤ 監理

追加のパネルは前日に製作する。設営は5人、計画図は事前に配布する。計画③で意図した空間創作、設営とは工事、私は設計における『監理』を行う。■設営手順①展示パネルを「ハの字」に設置する。②模型台を配置し、模型を設置する。③(模型の)背景パネルの設…

百年記念塔チカホ展計画④ 準備

チカホ展様に新たに制作するパネルの検討。アトリエの壁に貼っては確かめ、修正を加えを繰り返した。まだ、貼ったままだ。ギャラリー展では図面からモデリングする過程で得た造形プロセスが最重要だった。実は模型ではなくそれがメインだった。実際、案内さ…

百年記念塔チカホ展計画③ 計画

計画①で記した展示をどう創るか?実際に計画を行う。【Phase 1】現況チカホ通路壁面は上部に間接照明が組み込まれている。「横幅」を示す良い照明だと思う。直下照度は最小限ながら十分、陰湿な印象を避けるには空間に広がりを与えるのは良い。 【Phase 2】…

百年記念塔チカホ展計画② チラシ製作

告知のためのチラシが求められ、悩んだ末にお正月に製作する。ギャラリー展で使ったデザインの焼き直しではある。この時の試行錯誤は有効、但し図版と背景はリニューアルしレイアウトも実は一新している。図面からCADデータを起こし3Dモデリングし、それが…

百年記念塔チカホ展計画① どうしよう?

昨年末に記したとおり、ある日突如さらわれ連れて行かれ「ココ」でと告げられ、「任せた」と会場の申し込みも含め全てを一任され・・・丸投げだな。「何故こうなった?」と悩ましいお正月を過ごした。場所を得たら「空間」を模索する。これは職業上の習性だ…

百年記念塔チカホ展 その③ 展示風景

当日の展示風景。これは菅原さんから頂いた写真。塔はカッコ良い。子供が素直に興味を抱けるだけ十分にカッコ良い。意義や意味を探すのでなく、塔の存在に魅かれる素直さはデザインについて改めて学ぶ機会となった。 朝9時から5人で設営したのだけれど、照明…

百年記念塔チカホ展 その② コルテン鋼と構造

記念塔の表層は『コルテン鋼』で覆われている。写真は当日に展示しいてたサンプルだ。一般の鉄は生じた錆が浸食し基材は朽ち果てる。対してコルテン鋼は錆は安定した層を形成し基材を保護する。 サンプル中央に刻まれた深い傷が輝いているのが分かるだろうか…

百年記念塔チカホ展 その① 報告

2023年1月9日にチカホにて、『百年記念塔は健全・塔解体の再考を』展を催した。主催は北海道百年記念塔の未来を考える会。この会は道内の主な建築家並びに構造家、歴史家からなる技術者として意見を提示した。 展示は会員総意による。 意見書として代表から…

チカホで【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】

夏にギャラリーで催した【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】、1月にチカホで展示をする事になった。日程は未定。果たしての「チカホ」。札幌駅から大通りまでの地下通路のような、オープンで雑多な場所の一角で綺麗な展示が出来るのか?アピールが出来…

空間を科学する・・・【光明寺】の境内 その③

ヴォリュームで眺めた考察その②を、もう少しリアルに眺める。設計時にパース製作用に作った3Dモデルがあるので、直ぐに再現できる。 交差点が直交していると勘違いしている時に認識する「境内空間」。 建築の効果を加えた実際の「境内空間」。我ながら、竣工…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その⑨ ギャラリー展

訳もわからずにつれて行かれたギャラリーで模型を置くと告げられ、その夜に即興で展示イメージを創り上げた。場所が決まり、目的が定まれば『設計』を始めるのは既に習性だ。描いた思ったのは、伝統的なお寺の本堂の内陣。阿弥陀様の如く、模型を中央に配置…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その⑧・・・専門家による現地調査参加

解体の危機に直面する百年記念塔は、50年先のメンテナンス費用に比べ解体費の方が安価なので解体すべきと政治判断が下されている。・・・50年先までのメンテナンス費用?本当にそれに照らしてしまえば、道庁も時計台もテレビ塔も当然ながら免れないけれど、…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その⑦・・・記念塔のモデリング その⑫ 模型

これは3Dプリンターによる模型、製作は高校の同級生の相原賢一くんによる。高校の同級生と今一緒に何かが出来るとは思わなかった。とても嬉しい。しばらく前の小同窓会で互いに何をしているのか知らせた事があり、彼の趣味ではあるけれどその技術に信用をお…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その⑥・・・記念塔のモデリング その⑪ パース

春に製作した百年記念塔のパース、記事は尻切れトンボで完成パースを載せていなかったので改めて。極めて多彩な見え方のする塔は、遥か遠くからはランドマークとして一本の塔に見える。近寄ると様々な表情が見える。造形的にはシンプルに違いないのに見え方…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その5 背景パネル

これはA1サイズ6枚組のパネル。模型を見せるのに背景が白い壁では映えないので、当初から考えていたもの。ただ黒ければ良かったのだけれど、それだけでは無意味なのでアイディアを絞っていた。最後の最後に様々を取り組んだ成果です。使ったのは7月の調査時…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その4 俯瞰透視図

元々は春に作ったパースをと考えたのだけれど、展示のコンセプトや会場のイメージを想定し、4点の浮世絵風を新たに製作した。調子の良いアングルを探し、そのアングルで何枚もレンダリングしては重ね透かし、プロポーションと造形が分かる図案に仕上げた。正…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その3 デザインの秘密

展示の中では最も地味なこの壁面が実は重要です。デザインの秘密を証ています。造形プロセスの絵解き解説は、右から左へ14枚のパネルを眺めると一息に理解頂けます。複雑な塔のデザインも順を追えば明快です。左端の一枚は実際の写真に補助線を引き解説した…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その2 会場風景

展示は3部、6つコーナーで構成しています。 この展示で叶ったのは貴重な設計時の資料を展示出来た事。塔設計者の井口さんの発想時のスケッチ、計画図、実施図面一式を揃えています。スケッチに記された双曲線の公式がデザインの発端、これが具現し今見る事が…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その1 撮影。

展示会場での一枚、これは実写です。なんとか綺麗に会場を設える事が出来ました。手間は3Dプリンターによる模型です。塔の高さは100m、その1/100スケールで全高1mの模型は圧巻。これは高校の同級生が制作しました。背景はA1サイズ6枚組のパネルです。…

【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】 

百年記念塔は今、解体業者が決まり本当に失われかねない状況にあります。多くの方が様々に存続の道を模索しています。建築家が名を連ねる「北海道百寝記念塔の未来を考える会」もその一つです。建築家に何が出来るだろうか?何を残そうとしているのか?その…

記念塔のモデリング その⑩ ゴジラの背板の効果

実はモデリングを始める際に興味を覚えた部分がある。それが「ゴジラの背板」と私は呼んでいた、曲面に備えられた△の突起だ。曲面に沿う三次曲面の突起・・・図面に従い3次曲面で更に切り欠きもとなれば作業は膨大でデータも膨大、最大の悩みになっていたの…

記念塔のモデリング その⑨ 好きな場所。

ここがとても楽しい。実際には塔脚部は水盤に阻まれて登る事は出来ないのだけれど、もしも登れるのなら、この地面に平たく広がる裾野から、何処まで登れるか?を試すに違いない。少なくとも完成時、近所の子供達は夏場なら水遊びのついでにヒョイと登り、駆…

記念塔のモデリング その⑧ 3Dモデルを眺める。 

3Dのモデルを眺めて見る。架空の空間に建つ建築、ここでは私のPC内に疑似的に存在をしている。実存しないものの、実際に建っている不思議。塔頂部。コールテン鋼の縦割を細い目地で再現した事もあり、線の集積具合は非常に密だ。何より、曲面の大目地が不気…

記念塔のモデリング その⑦ いざ、モデリング。 

準備は丁寧に行う。3D、つまり立体は平面では見えない裏や表の様々があるので、出来るだけ備え理解しておくのが良い。製作途中で不明が生じ場合、時に計画し直す事も在り得る。特に曲面や斜め線がある場合はより立体的な把握が必要だ。そして、モデリングは…

記念塔のモデリング その⑥ が、しかし。

トレースすることで、ヴォリューム感はつかめた。ではあるけれど、しかし、何とも気に入らないのはやはり、図面が怪しい事に尽きる。本当に良いのか確認のために・・・図面を改めて見直す。キーとなった図面がこれだ。これは塔のデザインのルール解説書にな…

記念塔のモデリング その⑤ トレースを始める。

CADに画像データを取り込む。モデリングの、随分とアナログで不確かな第一歩になる。 画像図面の「線」とは、唯の点の集合に過ぎない。コピーの限界は明らかだ。平均値を求めるように、ここにCADでベクターな方向性ある線を引く。この作業は感覚的に正解に見…

記念塔のモデリング その④ 画像図面をCADに取り込む。

画像で製作した図面、コレしか頼りがない。CADに取り込みトレースをする事になる。これは製作した画像の図面。画像は写真と同様でスケールは無く、水平垂直も感覚でしかない不確かなものになる。CADはベクターデータと言い、数学的に再現できる『線』が支配…

記念塔のモデリング その③ トレース図面の製作。

3Dモデリング等と言えば先端的な響きはあるものの、手探りの地道な作業でしかない。特に、図面が青焼きスキャン画像ともなれば尚の事。昨今は・・・つまり自分の環境ではCADで描いた図面を直接、3Dにモデリングが出来る。それが、その図面は不確かな青焼図…