【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】その⑨ ギャラリー展


訳もわからずにつれて行かれたギャラリーで模型を置くと告げられ、その夜に即興で展示イメージを創り上げた。場所が決まり、目的が定まれば『設計』を始めるのは既に習性だ。

描いた思ったのは、伝統的なお寺の本堂の内陣。阿弥陀様の如く、模型を中央に配置し輝かす。ギャラリーを舞台とした演出をプランする。

両側の壁面に一般的な展示をし照明すれば、室内の光は飽和しスポットは効果しない。1mの3Dプリンターによる模型は所詮は樹脂なので、フラットな照明ではチープに見える。これでは最悪の展示に成り果てる。

会場の手前に図面(スポットで照らす)、奥に模型(スポットを強く当てる)を配置する。塔設計の発想から現代の二次創作までを一堂にする。ただし、模型の存在感に頼っては会場を充実させるには不足で驚かせることも出来ない。この50年を経た設計から、更に先に続く物語を垣間見せたい。展示コンセプトを明らかにすれば、後は不足を補い充足を計画するのみ。

ギャラリー展をしようと考えた会は同窓の先輩・親分が居て、青空の写る写真を飾りたい様子だったものの一蹴した。すると「(責任は負うので)君の好きにやりなさい」との言葉を頂いたのだけれど・・・上手く嵌められた感は否めないな・・・

①模型は白い壁の前では映えない。
黒系背景が、しかも巨大な背景が必要だ。【 百年記念塔 Digital Reconstruction 】の告知画像が実際に撮れるものと考えた。実際にはもっと良く撮れた。。詳しくはリンク先で!その背景パネルはA1サイズ6枚組の大作で、この塔のデザインの仕組みを伝える図面を拡大投影をした。会場で説明する際に大きいに役立つ一枚に出来た。

②会場への出入り口は、写真の右側手間になる。最初に目に入る左手の壁面は浮世絵風俯瞰透視図を配置している。薄暗い状況でも眺められる絵が必要になり、浮世絵か水墨画か、床の間にあっても耐えられるようなコントラストのあるもの、色で見せるのはないパネルを考えた。

入室時に死角になる右の壁面には、この展示の肝となる造形解説を試みる。当初のイメージはCAD画面でモデリング過程をと考えていた。最終的には絵本のような絵解き解説に至る。絵本?きわめて難しい。子供が見ても理解できるように伝えるのはハードルが高いのだと改めて知る。言葉を少なく絵の力を信じる作業はとても楽しかった。

④奥の間は『生まれ出づる空間への模索』のスペースとし、塔設計者の案内と工事写真の展示とした。


3週間前に電話が鳴り連れ行かれたのがこの空間になる。ギャラリーで去り際に「任された!」と言われた気がるする。稀にみる無茶ぶりだった。そこから2週間で開催に至る。どう考えたら2週間で準備できると考えたのだろう?そして私はどうしてこの企画を引き受けてしまったのだろう?無事にで開催でき、多くの人に楽しんで頂けた事は嬉しい。

何も無いカラの空間を見て頂ければ状況は伝わるだろうか?突如の話を請けられる?怖いでしょう?本当に近年稀にみる怖い出来事だった。


建築家として出来るのは何か?残そうとする建築を正しく知って頂く手助けしが出来るはずと取り組んだ。言い過ぎず不足なく、塔の魅力を提示出来たのではないかと思う。即興ではあったものの展示の完成度は高かく、案内させて頂いた方皆様が初めて知る事実も多く、この機会に楽しんで頂けたように思う。展示は設計の『創』を伝えるもの、模型を含め正に相応しい展示だったと自負がある。空間体験の楽しさを知って頂けたなら、それこそが原点だ。本当に楽しむには?既にあるので、是非とも塔を改めて訪ねて欲しい。


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