秋分

西側採光は興味深い。日没まで熱を伝える方位なので基本は塞ぐのが良い。ただし、朝陽とは違って起きている時間に不思議な光が届く。どう使うかを考えるのは実に楽しく、許される唯一の方位が西方だ。不思議?遮るものがなければ水平の光が室内に入り込む。光明寺の設計では思い切る。


秋分の今は真西に陽が沈む。この時期の夕暮れの室内は特に印象的だ。室内の最も遠い場所が暗くなり始めた時間帯に光り輝く。熟知されるクライアントが写真を送って下さった!

光へ向かって歩く魅力。実は北側ハイサイドライトで採光しているので、この写真ほどのコントラストは無く健やかにして穏やか、そして厳かな空間が広がる。



辿り着いた先には西方浄土阿弥陀様が在る。

当然ながら建築は背景となり環境を築く。隅々まで明白にしても陰影を伴い、実際には宙に浮くので、身近な存在にして尊さを失わず。実に凛々しい。



これは納骨堂の光景、照明の力を借りる事の無い日常の光景だ。夜は夜で実は街の灯があるので不気味さを漂わせる事がない。唯一の心残りがあるとすれば、このお寺では肝試しが出来ない事かもしれない。エントランスからここまで来るには40mを歩かなければならない。その距離はとてもドラマチックだ。