カーボベルデ

見慣れぬバスケットボールがネットで中継されていたのでサブモニターで横目にしつつ、その対戦相手が『カーボベルデ?』と、つい調べ始めてしまう。

アフリカ大陸の西側、大西洋に浮かぶ小さな島群からなる国家らしい。大航海時代以来のポルトガル領は海賊時代に衰退しつつも海運の要所でもあり盛り返し、50年程前に独立した・・・ネット調べを知ったかのように語る。

人工は50万人、首都プライアの人口は12.5万人だそうな。首都は小樽規模らしい。ラグビーなら太平洋諸島の出場国があるように、バスケットも個性的な地域があるのかもしれない。


カーボベルデ全景。中央下の大きな島の南側に首都プライアがある。
大きさを北海道と比較して眺めると中央南の首都のある島を道東と想定すれば、この島の北は帯広で南は浦幌の海、南西の島は平取、北東の島は知床、北西の島が天塩という具合だ。

平均気温は通年24℃ほどと温暖で、降雨量は極めて少ないらしい。海は広く漁業は盛んらしいのだけれど、観光業や海運業が主たる産業らしい。これは西欧に近い立地と治安の安定故にだろうか。民主義国家で、場所によっては危険らしいけれど、観光地でもある様だ。

果たして、人々はどのような暮らしをしているのだろう?どのような生活があるのか?気になってしまうのは職業柄か。



首都プライアの全景。港町のようだ。緑は少なく乾燥した地表に見える。港は大きくはないのだけれど、海運の街、国なのだろうか。小樽のスケール感で眺められるので助かる。



近寄り眺めると、官庁などがある場所かな?綺麗な街並みがあった。



岬状の景勝地にはプールのあるコンドミニアムが陣取っている。



海に面して綺麗な街並みがありそう。ストリートヴューが使えないので街並みの確認が難しい。この少し外れにはプール付きの邸宅が並んでいた。



市中央の幹線道路? 比較的平坦に見える地域なのだけれど、どうしてこうなってるのだろう道の具合。大きな教会やモスクがあり広場があって・・・という街づくりがあるようにも見えない。その意味では中世からの街並み、その形成から今に至る風ではない。



衝撃の1枚はここ、割と絶望的だ。南北2本の道路に挟まれた街区は建物がひしめき合い、彷徨い込めば二度とは出られまい。少なくとも、郵便配達は不可能に違いない。

日本には「接道義務」があり、建物は道路と接する事が基本だ。果たして、この地域の人達はどうやって自分の住まいへ帰るのだろう?隙間を縫って行くのかな?

アジアの混沌とした街区とも違う印象は、基本的には低層の建築が連なり平坦に展開しているからだろうか。



郊外に出ると建築密度は下がり混雑は解消されるのだけれど、「敷地」という概念が無いのかもしれない。空いた場所があれば建ててしまうのだろうか。

他の多くの地域ではサッカー場があるのだけれど、この国ではバスケットコートがあちこちにある。



このように必需の施設がバスケットコートの様だ。しかもアウトドア。このくらいの街区なら歩くのも楽しそう。



しかし、それにしてもデタラメな街区。敷地の概念がなく接道の義務もなく、日本のように南方信仰もないので建物はバラバラを向いている。

そこに長く住んでいる人の兄弟や、子供達が空いている隣地に次々と家を建てコロニーが生まれるのだろうか。道路の具合といい、何らかのルールは在るに違いない。その生成過程をプログラムすれば、このような自然発生的な街区構成を再現できるかもしれない。もちろん、ただのデタラメかもしれないけれど、直交する合理的ではない秩序があるのなら、芸術的にすら見える。

この街区をモデル化して図案にすれば、それを絵画に整えたならディ・スティルかバウハウスの作品になってしまいそう。



道路に囲まれた部分も、その外側も、どうしてくれよう。ひょっとすると、10年20年単位でなら建物位置はもちろん、街区内の道路の位置も変容しそうに見える。こうなると、電気給排水のインフラ整備は極めて難しい。

通電地区はそう多くはないのかもしれない。水はどうしているのだろう?そういえば川がまるで見当たらない。雨季には川が現れるのかな?首都の町外れに発電所は見つけた。けれど浄水場やら下水処理施設はわからない。こうして見知らぬ環境の場所を眺めると、当然と思うものが無いと一気に不安を覚えてしまう。



疎らの地域を眺める。家を建てた後に人が頻繁に通る場所が「道」になるのかもしれない。住宅規模は基本的にブロックを積んでいるように見える。ブロックの上部にある梁、臥梁はコンクリート製となり屋根もコンクリートで造る家もあれば、木や鉄の梁を掛けて薄い屋根を掛ける程度の家もあるのかもしれない。建築中にはみえない壁だけがある建物が至る所にある。なんだろう?屋根を掛け忘れたのか、落ちたのか。

雨のある日本では屋根はシェルターたる住宅の基本要素になる。雨のの無い暑い地域は日除けとしての屋根が欠かせないはずだけれど、どうしてるのだろう。レストランを眺めると基本的にはどこも庇下のカフェテラスが少なくない。



多少の集落でも、この様に道がそこそこ規則的に通っていると、安心してしまう。



平坦に地にこのように住まいが点在してしまうと、畑でも牧場でもなく荒涼した中での住まい、想像が難しい。



それにしても自由な街並み。



移動の手段が車ではなく、歩いて移動できる範囲が生活圏なら?どこかオフィス街に働きに行くのではなくという生活スタイルなら、見知らぬ他人は無く、家族か血縁のように身近な隣人の街並みなら、こういう街並みである方が住み易いかもしれないなー



そして、どこにでもバスケットコートがある。



海岸入江は景勝地、陣取るコンドミニアム。近年に開発された様子の街区が整然として見えるのは、道路が規則的で敷地が分割されているからか。車で移動し、土地や家屋の所有区分が明快ならこの具合が良いけれど、そもそも、車社会自体が近代の事なのだし、いつしか四面楚歌の堅苦しい街並みに見えて来るのだから不思議だ。

自由に隣り合いコロニーのように出来た街で、人が多く歩き踏みした場所が道になる・・・それが或いは理想なのかもしれない。



気ままではあるけれど、現代的な街並み。



けれど、郊外なのに整い過ぎると覚え始める違和感。



外れにはプールのあるコンドミニアム。こういう敷地で設計してみたい!とは思うけれど、降雨量の少ない地域でのプールは贅沢、無理をした様は果たして良いのだろうか?思い切り悩んでしまいそうでもある。


ところでバスケットボールは人工50万人の国に勝ったらしい。旭川くらいの規模の街にも関わらずアジアの国々と対等なのは、あちこちにあるバスケットコートの多さに比例するのだろう。つい、ウィキペディアとGoogleMapを眺める方が忙しくなってしまった。

在って当然の常識を覆すと、人の住まう環境は一変する。久しぶりに見知らぬ地を冒険した、秋の夜。