確認申請

「実施設計」で描く図面とは、つまり見積図面になる。この設計図書を元に施工者に見積を依頼する。実施UP!は設計スケジュールにおいて建設に向け確認申請をする時期になる。

計画⇒実施設計⇒見積依頼⇒見積確定⇒施工契約⇒着工

と、一連の建築スケージュールがある。着工時には確認申請が下りている必要がある。確認申請は建築基準法に照らし、設計された建築に不備が無いかを審査されるもの。市役所や振興局、今は民間の確認申請機関に申請をする。住宅なら2週間程度で審査を終えて確認済証を得られる。規模が大きい、又は建築内容が特殊、構造が複雑な場合は審査期間は長くなる。不特定多数の人が利用する建築や、複雑な構造計算を要する建築では審査されるべき項目は多くなり、必然的に協議する事も多々となる。

重要な事は、確認申請をし、竣工時に完了検査される事。これにより建築基準法に則る建築として公にする事が出来る。それ以外は基本的に「違法建築」となり是正の対象となる。資産価値を有しない可能性があり、当然融資の対象にもなり得ない。

審査は最低限度の法規制の確認になる。設計ではそれ以外、それ以上の内容までを設計する。実施設計図書の内容はそこまで反映するので見積の対象と出来る。その一部の図書で確認申請が出来る。デザインに関する事等は審査対象にはならないので。

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共同設計となる申請した設計はこの建築。先方事務所の担当者は同窓の後輩でもあり勝手が良い。彼には本当に様々お世話になっている。自分の大学しか実感は無いのだけれど、同じ時間を共有していない先輩後輩でも一気に理解し合える関係を得られるように思う。構造設計も後輩、知った時に覚えた安堵は何とも言えない信頼感があり、揺ぎ無し。今の自分は協力者の仕事を無にしないための責任を負っているのだと自覚して取り組んでいる・・・確認申請は後輩に任せきりではあったのですが。

申請は「ホテル」。不特定多数の人が利用する「特殊建築物」だ。結果的に1000㎡を超え、「準耐火建築物」が要求された。法の緩い部分を選んで有利を得る設計は実に繊細、一級建築士試験では出題される事のない根本的な法規にあって問われない仕様内容は特に勉強になった。そういえば、一級建築士の定期講習の案内が届いていた。年内に受けなければならないなー

諸事情から3月6日に申請してしまわなけれえばならず、難航した。実施設計はまだUPしていない。デザインが決まっていない部分は図面に出来ない。先んじて申請をする。申請期間は長く、見積に先んじての申請なのだけれど、法に則る内容を得る意味では問題はないし、一般的ではある。

通常の自分の設計では見積額確定のタイミングで申請をする。予算と合致出来なければ構造規模を見直す事態も想定されるので、先に申請をしても取り下げるべき事態も起こり得るので。この設計ではそこは見極め、行った。


要望の変更、更新、内容の検討、確認審査機関との事前協議、幾多の調整が行われた。本当に難航した一つは窓。法に合致させるとして、どの法を適用させるか判断が映ろい、その度に検討をする。窓は、平面図、断面図、立面図に関わる。断面は構造も含め詳細に検討するのだけれど、細部ではミリ単位で検討をするし、ギリギリを攻めると構造とせめぎ合う。網戸をインテリアから消し綺麗に見せるには、インテリアで妨げにならない開口部、それが立面で整う佇まいを、となれば悩まないわけがなく、悩めば立体的に数多くを検討しなければならない・・・疲れたよ。


写真はクライアントとの打ち合わせの席でのもの、徹夜で仕上げて出来たてホヤホヤをお見せした時のもの。ともかく、確認申請が受理されたので一安心。