記念塔のモデリング その②

3Dモデリングは、ある取り組みでの依頼になる。依頼主が問題で、同窓の大先輩でしかも、上手く断れないよう取り込まれてしまう。本当はお正月休みの時間のある時にならとしてたものの、忙しい最中での作業となった。

元々、この塔のデザインには興味があった。全長100mの塔、かなり遠くから見える『ランドマーク』でもあり、これまで考えた事のない建築類型だ。果たしてどうデザインされているのか、考えてみたいと思っていた。この機会にモデリングするのなら意図を推測できるかもしれず、少なくともデザインをトレースする事が出来る。

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図面を用意頂いた。50年前のA1サイズ青焼き図面の製本からのA3サイズのスキャンデータ。A3はA1の4分の1、つまり、バラバラだ。しかも、青焼きとはそもそも紙、現像液に浸けて感光させた図面の写しになる。

今は青焼きを使う事はないし、最後に使ったのは15年以上は昔の事だ。手描きで図面が仕上げられていた頃、図面はトレーシングペーパーと言い、半透明の硬い紙に描かれていた。下書きや他の図面を下に敷いて透かして描く事も出来て便利な紙だ。

図面は一般にA1サイズで描かれる。A1サイズのコピー機は特殊で、これをコピーするのに使われたのが青焼きだ。感光紙にトレぺの図面を重ねて青焼機に飲み込ませると、先ずは強い光で感光させられ、後に紙は別々に送られて感光紙は溶液に浸かり青く線を浮かび上がらせる。随分以前は、この図面をお元に建築は造られていた。

仕組み上、感光紙と図面トレぺは重なるものの付着しているわけでは無いので僅かに浮きもある。その上に液に浸り乾かされる。そもそも、強い光を当てた際の線の影が青く残るというもの・・・つまり、線としては全く信用らなん。

学生の頃、アルバイトで模型作りをした事があるのだけれど、青焼き図面で模型を作るのは至難だった。水平垂直が狂うのは当然、線はよれて曲がる。2枚焼けば2枚、別の図面が出来上がると言って良い。模型の場合は、これを型紙に使えば間違える事になる。よって、青焼きの歪みを理解した上で製作をする。

まぁ、基本となる図面が必要な時は、当時のアルバイト先は大手ゼネコンだったので、勝手に印刷業社を読んで必要分の白黒コピーを用意していたな。今はA3サイズのコピーで貼り合わせるかもしれない。

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この模型はお寺の設計時のもの、全長70m規模を1/100サイズで製作をした。CADから直接印刷出来る上に、機器類は使い慣れている事もありコツは熟知の上、そこは円滑に狂いなく作る事ができるのだ。青焼き図面で模型を作る労を思えば、遥かに確かだ。



・・・どうしてここまで青焼き図面について書いたのか?今時分に再び青焼きに苦しめられるとは、思いもしなかったから。線が記されているだけに頼りはコレだけ、取り組まなければならず・・・本当に苦労をさせられたぞ。