赤道儀が自動で星を追尾し始める際のモーター音を聞いた時に、何かを強く感じた。
地球の自転と連動し誤差を逐一調整しつつ狙った天体を高い精度で追尾する装置は、まるで意識があるかのよう。正しく機械なのだけれど、見事だった。
三脚の上に台座を取り付け赤道儀を乗せる。この赤道儀に望遠鏡、受照センサー装置、それに補助鏡(ファインダー?)、バッテリーが組み上げられている。
本来は望遠鏡に接眼レンズがあるのだけれど、今はカメラが付いていて見るのはタブレットになる。ソフトが赤道儀を調整し制御する。一度望遠鏡を設置すれば、冬なら車の中でヌクヌクと観測する事も可能だ。
自分の目で望遠鏡を通じて星を見る感覚に乏しい。寒い冬に凍えながら星を捉えて観えた時の・・・自動追尾の赤道儀とそれをコントロールするソフト、画像を見るタブレットとは、現代の天体観測の凄さを垣間見た。
この望遠鏡は1500mm(35mm換算)で、後に150mmの望遠鏡に換えて観測する。正直、小さな双眼鏡でも夜空に向けると容易に迷子になれる。今回狙ったM101銀河を300mmの望遠レンズで狙ってみようかとも思ったものの、正確には狙えず迷子になるだろうし、幸運にも照準出来ても30秒も露光すれば天体は動いてしまう。
北の空は動く距離は短いものの、南を向き30秒も露光すれば盛大に尾を引く。
簡単に見える望遠鏡の装置一式は正確に地球の自転に呼応して天体を追尾する。狙う天体は暗く長時間露光せずには像を結ばない。中島公園の天文台にあるような口径なら光はある程度取り入れられ土星の輪も見えるのかもしれない。小さな望遠鏡では追尾する事で長時間露光を可能にするので正確な像を得られる。
今回、M101銀河へは180秒の露光をし、モヤが写っていた。2000万年光年先にある天体はよほど暗いらしい。但し、それ程小さくはない様子でもある。
今回は高校同級生の観測に同行させて頂いた。超新星爆発を観測はしないのか?と打診し、昨晩に実現する。感謝です。非常に楽しい経験でした。
観測場所は森林公園の南側、広角レンズで捉えた写真では札幌の光害の影響は強い。帆おおぐま座とカシオペアが見えているので北極星の特定は容易だ。おおぐま座=ひしゃく星の尾か柄の末端の2つの星を長辺にする直角二等辺三角形の交点近辺にM101銀河が在る。実に分り良い天体だ。写真では赤丸の範囲になる。
やや南側の上空には白鳥座があり、白鳥の尻尾の「デネブ」、更に上空に「ベガ」、写真では右手に「アルタイル」が輝き盛大な三角形を描いている。もっと暗い空なら、この写真中央を横切るように天の川がある。
明るい夜空は星座だけが明快に見えるので判別は容易だけれど高感度に優れる今のカメラは肉眼では見えていない暗い星まで捉えてしまう。実際に天の川を観測できる暗い空になると2等星3等星が煌々と輝き出す上により暗い星が無数に光るので星座を見分け難くなってしまう。
北見の北斗高校を一緒した級友、故郷でなら天体観測に困らないよなーと、これは即答する感覚だった。北見の街は明るいけれど、車で10分15分移動すれば遥かに暗い空に出会える。私の故郷なら窓から見える星空の方が暗いかもしれない。
天の川に飲み込まれ気配も感じられない白鳥座、夏の大三角形?あちこちに在るんだけれど?と言う夜空を眺めたくて仕方がない。