加古里子(かこさとし)の絵本。

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日曜美術館加古里子さんが特集されていた。亡くなる前のインタビューは素晴らしく、実にカッコ良い方なのだと知った・・・絵本は正直、苦手かもしれない。因果関係を大切にしてしまう今の自分には、絵本の多くは自由過ぎて困る。!?、何?、何で?と疑問符だらけになってしまう。でも、惹かれる事も事実で、何故か印象に残ってしまう。

加古?あぁと直ぐにこの絵本を私でも思い出せてしまうほど。だるまちゃんシリーズは福音館書店の扱う名作絵本だそうだ。きっと親しんだ方は多いはず。

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その内容は何だろう?天狗ちゃんの持っているうちわが欲しいと言えばお父さん?のだるまどんが様々を用意してくれる。これは、戦後の何もなかった頃には選べる楽しさに溢れる一枚だったらしい。しかし、だるまちゃんは窓の外の木のはっぱを選ぶのであった。

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端折らない事。徹底していたらしい。それはなるほどと思う。漢字や難しい文言を読めなかった頃でも、子供用に簡便にされたものは十分には感じられず、のめり込む事はなかった。この『宇宙』は凄い本だ。やはり福音館の本になる。解説部分には漢字が使われるものの、文章はひらがなとカタカナだけ。文章量は多く幼児向けではないものの、図鑑ではなくあくまで絵本なのだと思う。故に、図柄だけで世界を、宇宙スケールまでを一気に描き切ってしまう。

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虫からはじまり、例えば動物の走る、泳ぐ速さや体の大きさが描かれる。速度の表示はグラフィカルで分かり易い。「比較」するという科学的考察が基本にある。

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こういう比較も大好きだ。建築物、構築物の高さ比較図。科学的な考察には客観性が大切になる。主観で都合よく考えるのではなく、客観的事実を理解する事の面白さを知る。速い!高い!大きい!を正しく知る事で膨らむイメージには夢があるのかな?

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それがロケットや物理的な事案が描かれてみたり、

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地球を俯瞰して眺めるスケールに至り、

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太陽系にまでおよび、

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様々を経て、うちゅうのはてにまで到達する。
この絵本を見て興奮しない子供は居ないだろうなと思う・・・大人になってから知った自分も興奮してしまう。絵本をめくるだけで宇宙までのスケールを一望させてしまうとは、本当に驚いてしまう。素晴らしい!