報告。

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これは帯広の住宅『 MoAi in ny 』の一枚。先日は音更のお寺、報恩講の後の忙しい最中ではあったのですが、報告を兼ねて案内をさせて頂いた。お寺の設計を前に、この住宅を案内させて頂いていたので報告をしたかった。その後におおよそ800㎡規模の建築を考えられているクライアントに、90㎡に満たない住宅を案内させて頂いた。しかも二世帯住宅を。狭小空間であっても狭さではなく広がりの創れる事を、無事に生活の営まれている事をお知らせしたかった。大きい事は、大は小を兼ねるので救いにはなるものの、コストを押しなべてチープになってしまう事を免れない。空間を大切に考えるか、チープでも広さを選択するか、これは設計において大きな問いになる。

安価にするには方法はあり、基本的には造作を避けて既製品で構成するのが早い。出来るだけ正方形に近い箱を作り、後は建材ショールームで選んでしまえば、コストを下げる事は可能だと思う。ただ、そこに『空間』を求める事は難しい。

優先順位をどこに置くか?それこそが設計において、クライアントが大いに悩む事になる。限りある予算を広さに費やすか、質に費やすか。『 MoAi in ny 』は高価な素材は使えなかったものの、生活する上で子供が『光』に気が付けるだけ十分な質感を得て造られた住宅だ。果敢に挑み、得た成果、今は無事な生活がある。そして、今はオーナーでもある。

オーナーを案内するというのは大変に緊張する。設計の際は導くかの様にあれこれとお話させて頂き、共有の価値観を導くべく取り組んでいる。別の設計で、私が違う価値観や優先順位を置いたのではお見せ出来ない。「あれ?あの時アレコレ言っていたのにコレですか?」なんて言われたくはない。なので、本当に、案内の時は緊張します。

けれど、お子様と御一緒にお越し頂いたオーナー様、束の間ではあったものの、感じて頂けたのではと思う。住宅ではなくお寺ではあるものの、創った建築の空間の原理は同じ、何を求めて得た成果なのかは想像に難くないはず。空間の伸びやかさ、奥行きの深さ、光の具合様々、既に御経験され実際に住まわれている方なので、嘘偽りは通じない。真を見て頂く機会であった。が、面白かった。お寺の坊守、子供を連れて端っこまで走ってくれたし。

90㎡未満で二世帯住宅は、私にとっても記憶が濃い。そして、現場では実に良く歩いた。長~い家で且つスキップしつつの家なので端から端は結構歩く。小さいと思い、各所に目に遣りながらの監理の際は結局、動線末端までは長かった。しかも、光は様々で変化は多彩。陽の長い季節、今頃は様々な変化を強く感じて暮らされているのかな?