雪の結晶に、案外に夢中らしい。

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夕方から降り出した雪は夜半に掛けて結構な量が積もる。早い時間帯の雪は粒状だった。いつしか、雪が降り出すと窓の外に手を伸ばし、黒い服の上で受け、観察するのが習慣になっている。そして、暗くなってからは取り合えず屋上に出て照明を当てる。キラキラと煌めく大きめの点があるかどうかを確認する。

トイレにと席を立った際に、面倒ならがら屋上へ行き確かめた夜更け、煌めいていた。シーズン最後のチャンスかもとカメラを持ち出す。撮るのは、実際やはり大変だ。先ずは煌めく粒を探し、ラッセルせずに済む扉近くが良い。屋上はスリッパしか置いてないし。三脚を立て、何となくカメラを煌めきへ向け、何枚かを撮る・・・というデタラメでは写らない。諦めて覚悟をする。

雪の結晶は平面的だ。照明を上手に当てる輝くものの、角度が違えば輝きはしない。壊れた結晶の残骸の様にしか見えない。カメラのアングルに沿うものを探し、対象に向け、ファインダーを覗き、マニュアルでフォーカスする。明らかに小さく薄い。ゴマ粒の断面を撮るかのよう。ピントがズレると直ぐにボケる。絞って撮っても奥行きが無さ過ぎ、剃刀を適切に当てるようにフォーカスしても・・・雪の結晶は薄すぎる。しかも、照明がある程度固定できないければならないし。当てすぎると全てが白くなり結晶は判別が出来ない。足りないと暗いだけ。

なんて手間の掛かる撮影なのだろう?しかも、そもそも小さいので写真を撮るのが基本的に困難だ。顕微鏡が欲しくなる。もしも撮影できる顕微鏡があっても、プレパラートに結晶一つ壊さずに載せるのは至難の業に違いない。余程に冷えて固まっていないと拾う事すら出来ないのだと思う。

気付けば写真フォルダーに日別の雪フォルダーが並び出している。今宵は、ある程度の成果があったとして良いだろう。良い。あー良かった。写った。

溶け始め壊れ掛けには違いないけれど、結晶の純形態が想像出来る。

綺麗だな。こうも完成された造形が其処ら中に舞い、降り注ぐのだから不思議。