”veil”に包まれる川面

ベール (服飾)、ヴェール(veil) - 女性用の帽子として用いる薄い布。ウエディングベールなど。多くは頭の上から顔を隠すようにかぶせる。かつては悪魔などから身を守る効果があるともされた。 転じて、物事の真相や本当の姿がわかりにくくなっている要因を表す。「神秘のベール」など・・・wikipedia調べ。

自転車で行くのは今年最後かな?と、いつもの豊平川を訪ねる。それほど多くの雨量があったようには思われないけれど、雪解け時の半分にして夏の倍の水量があるかもしれない。それまでは乾いたコンクリートの平地だった場所が薄い川面に変化している。

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先日訪ねた際は月夜で、月が居ないと真暗で街の灯を映えるだけ静かな川面。「この薄さ」を眺めて何かに似ていると思っていた。

 

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ベールに包まれたのベールとは ”Veil” だそうだ。薄い布で覆われ包み隠し、何かが見えなくなっている故に想像が膨らむ。

本当はミケランジェロがあれば良いのだけれど、思い出したのはアントナン・メルシエの彫刻、オルセー美術館で出会いスケッチしたもの。

『薄い川面』に魅かれたのは『ベール』だからに違いない。ただ、隠されているのは私の日常で何時もは踏み入る事の出来る、夜なら私が占有出来る場所。ベールに奪われたとは思わない。寧ろ、自分の現実の日常を美しく隠してくれている。
 
意味深に思う意味を正しく探したい。

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スケッチ序にルーブル美術館サモトラケのニケ像のスケッチも。体は全てベールに覆われ風を受けている。登る大階段の正面に鎮座し、訪ねる者の後ろから強い風が吹く。その風を受けて羽を広げる。体を浮かべるには小さく見えるのに、遠く階段先に見つけると動けなくなる風圧を感じてしまう。

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あれこれ思い巡らすのは何時もの風景。季節故の空気からか何かの拍子で星も微かに写る。朝方に行けばオリオンを撮れるかもしれない。

今は薄い川面、いつもは光のベールに包まれる風景は人工物で剥がせば「現実」しか現れない。剥がした先に何かが現れる建築を設計したい。