今も通じるデザイン。

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シーラカンスよりは新しくとも1億5千年前のデザインのまま今に至る「生きた化石」をいつもの水源地の森ではそこらで見る事が出来る。その名を『ムカシトンボ』と呼ぶ、らしい。

柄はオニヤンマで体はそこまで大きくはないものの立派なサイズ、最新のトンボデザインと比べても遜色がない。デザイン潮流で言えば大きく違うのは眼、今は二つの眼が頭の上で接し視界の広いものが流行りだそうだ。トンボの触覚は短く視覚に重きを置くのは人と同じだろうか。成虫になってからは水分補給はしても捕食活動の比重は大きくはないだろうし、天敵から身を守れるなら十分なのかもしれない。1億5千年前の化石と変わらぬから『ムカシ』と名付けられたものの、今も無事に日常に暮らす事を思えば、『普遍』とか『完成形』などと名前が付いても良かっただろうにね。プロトタイプが完成形なのだから恐れ入る。

複眼という眼はいつも不思議に思う。一体、どう見えるのだろう?一つ一つは光の有無、或いは若干の光の強弱を感じる程度ではないかと予想する。けれど、それが幾つも集まり複眼となり、全体では外界を理解できるだけ十分な情報を得る知覚器官となる。それで距離も的確に計れてしまう。実際、枝葉に折り損じるトンボなど見た事もない。
単純な光センサーも集合させて解析出来るなら、気候の変動、環境の激変を乗り越え恐竜時代から変わらずに生きる事も可能なのかもしれない。その十分な知恵のある様を計るに人間の知恵程度では浅はかかもしれない。


・・・死んでるのかな?と近寄り促すと、面倒くさそうに飛び去った。なんと逞しい。