2020 タイ旅日記 ① 

三島由紀夫の書いた「暁の寺」があるらしいと知り、しかし本を用意する時間はなく、手元にある三島の本から旅の友を選ぼうと・・・寺?「金閣寺」を取り出し机の上に置く。今回は写真を撮ろうとフルサイズ機を覚悟する。レンズをもう一本携帯するか・・・三脚を選んだ。ライトアップの綺麗な写真はネットでも見られるし、無くて諦めるのを嫌う。ただ、身軽さは身上にしたくカバンを一つにまとめるとカメラがメインで着替え少々、結局は描く事無く終わったのだけれど小さなスケッチブックのために「金閣寺」はアトリエで留守番して頂く事にした。手元には一冊、「地球の歩き方」。


直前の夜更けに用意した地図は頭に入っていて、見知らぬしかもアジアの見た事もない地図・・・道路と建物の具合は未知、ではあったけれど、距離感は想像が出来ていたみたいだ。ピックアップしていた見たい場所や寺院は飛行機の中で地球の歩き方と照らし合わせ、作った地図で位置を確認し、散策順路など考え過ごす。機内で観た映画「サリュート7」は面白かった。科学的アプローチの「アポロ13」とは異なり、ド根性のスポーツ漫画を見るかの様だった。「判断」は考えさせられる。

という具合に旅は始まってしまった。結論から言えば、現地に詳しい方があり、何も困る事がありませんでした。安心しきってしまったのは実に勿体ない。折角、見知らぬ地を訪ねるのだから、空港からさてどう町へ行こうか?というところから悩む冒険を自分に突き付けるのが正しかったのだろうと思う。せめて現地ホテル集合という具合に。

初めて海外に行った随分前の事、その時も「地球の歩き方」は持っていた。スマホの無い時代はバイブルだったろうに入れて置いたカバンはロストしてしまい、到着空港では見たい建築だけしか知らず、右も左もわからぬ状況だった。やっと乗れた電車も「中央駅」がわからず、その日の宿も決めずに行ったので、死ぬんじゃないか?と心から思った初めてだったと思う。

現地集合で一人くらい来なくても・・・死ぬ事はないと思う。

タイは非常に暖かく、というより暑くて汗だくだった。人は温厚で優しく親切、札幌を歩くより居心地良さを感じるくらいに思えた。

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写真は2日目のチェンマイ、『ワット ジェットリン』での夕暮れ。印象的だった。

チェンマイは西に山があるけれど基本は平たん、バンコクも同様にその広がりは大陸的だ。何もなければ地平線が見えそうなほど山は遠そうだ。どういう理由か、日出日没はスイッチを押すかのようにキッパリしている。朝陽も夕陽も低く、遠くに霞んで見えた。地表は寒暖からか水蒸気もあり、最も遠くに見える朝夕はそれらに邪魔され陽も輝けないのかもしれない。ではあるけれど、出るか沈むかでスイッチは入り余韻は残さない。日没間際のトワイライトは建築写真を撮るには絶好のシャターチャンスだけれど、一瞬の間に終わる、ような気がする。夕焼け空なんてあるのだろうか?


場所が変われば文化は変わる。習慣は自然とは切り離せない。こういう環境条件で築かれた生活があるのだと実感を得られたと思う。


撮りためた写真は、思いの外少ない。カメラを肩に掛けて歩き回るのが日常だけれど、それは危険だ、と何かで読んで億劫にしてしまった。夜な夜な整理しては日記にて書いてみようと思う。記憶の温かいうちに残しておきたい。

※今後の日記に記す寺院にはGoogl MAPの座標を埋め込みます。クリックすればMAPに飛びます。ひょっとしたら、タイ旅行の際に役立つかもしれません。活用頂ける事があれば幸い。