チミケップ湖の闇

雪降る前にと訪ねた道東は一ヶ月程前の事、【佛願寺】の住職とは幼馴染でもあり、夜に一緒にチミケップ湖へ向かう。目的は?珈琲を飲むために。

嗜好の珈琲は場所を選べばより美味しく、チミケップは実に相応しい。本当は星夜に訪ねたいと何時も思うのだけれど、この夜は出発時既に雲に覆われていた。電灯一つ持たずに来た彼は到着すると「暗いな。」と、自分の手足も見えない『真の暗闇』で言う・・・まぁ、そうだろうなと電灯を一つ貸す。



フルサイズのカメラを構えたチミケップ湖。高感度に設定し30秒も露光すれば必ず何かを写してしまうこのカメラが早々に諦めるを初めて見た。確かに、カメラも困惑する程の闇。でも、闇が写っているので正しいのか?

実際のところ、確かに何も見えない。雲は想像よりは薄く、その上にある月明かりをほのかに映え、目が馴染むと空を何となく感じる事は出来た。風はあり、話し声は遠くに消える具合から「大きな外」に居る事だけは体が感じる。


撮った写真を無理やり明るく現像した一枚がコレになる。
好みの豆をミルで挽き、沸かした湯を注ぎ淹れた一杯は特別に美味しかった。


晴れると満天の星空が広がり、無風の夜なら湖面に星が映え、天にも地にも星が眩しく輝く世界がココにある。


北海道に居ても「真の闇」を知る機会はそうない。道東や道北、大雪山の上くらいらしい。道央や道南は光害を免れない。この日は星一つ見えなかいどころか、まるで何も見えなかったという事は、「真の闇」を見た!事になるのだろう。暗闇で体感する自然の景観、これはこれで貴重な夜なのだと思う。