一月後の仲秋。

この構図は嘗て観た記憶がある。満月ではなく薄い三日月なのだけれど、月下の山岳での焚火はロマン派の画家フリードリッヒだったはずなのだけれど、ターナーかもしれない。残念ながら確証を探し切れずの写真の舞台は札幌中央区、とあるアトリエの屋上での事。

銘打ってからは3度目となる【 月見珈琲会 】、本来の趣旨は例えば「仕事終わりの気持ちの良い夜に豊平川を散策していたら友人に出会い、珈琲を頂く」と言うコンセプトであったのに、何故?アトリエの屋上かの説明を始めると長くなるな。

珈琲セットはリュック一つに整理していて、「珈琲豆」と「水」があれば何時でも何処ででも珈琲が頂ける。この基本セットは30年ものである。ミルは数年前に調達したので、後は椅子を携帯すれば完璧だ。ただ、用意しているコンロには使用気温が設定されていて、この時期は微妙ではある。実際、南幌のミニバイクレース観戦時に淹れようと思えば火は消えてしまった。この夜は暖かく無事に活躍してくれる。

この後でもう一人が加わり5人での会となる。初参加となった一人は「寒い屋上で月見しながら温かいコーヒーを飲むという非現実的で貴重な体験でした。」と。あれ?そう?とは思いつつ、楽しむ事は忘れない。


大の大人が何しているの?とは言うまい。
素直に飲みの行けば?とは言ってはいけない
ここで3時間程も過ごしたの?それは言うな。


頂いた珈琲は・・・

ニカラグア
中南米産は今は熱い。ホンジュラスコスタリカの間、純ブルボン種のプレミア珈琲はシティーロースト、やや酸味を残しつつ忠実なロースト故に素性の良さは個性が引き立つ逸品。


ゲイシャ 】
南米はエチオピア、つまりはモカ港で世界に行き渡る珈琲発祥の地、プレミア価格の稀な珈琲。価格を聞いて一同、ビックリ。自分は例えば大きな粒のアンデスマウンテンのシティーローストが類似の味わで思い浮かんだ。一切の斑がなく、足りない味わいはなく全てが満たされる、満月に似て円い味わい。冷めても酸味が尖ることなく美味しい一品。


【 名も無き極めて安価フルシティーローストのブレンド
これはこれで美味しい。恐らくはコロンビアとブラジルのブレンドで、マンデリンのようなコクはなく、より安価なロブスターの強さはなく、誠実なローストのブレンドだと思う。これが〆の一杯。


総評すれば珈琲は美味しく、楽しく語らう夜であり、雨予報で右往左往して急遽豊平川からココの屋上に場所を代えたにも関わらず幸運にも輝く円い月・・・暦の上では満月の3日前らしいのだけれど、それはもう十分にまるかった。