ハチ?


私のアトリエは古い建物、蒸発皿を置いている事もあり、窓は結露する。その窓に動くものを見つけたのは夕方遅くであった。

実は一週間程前にも同じ光景に出会っていた。その時は写真を撮ろうとウロウロして見失ってしまい残念に思っていた。それが再び!!

正体は昆虫で、どうして真冬のこの時期に窓をウロウロしているのかは不明だ。秋の頃に彷徨い込んで、どこかでじっと活動を止め冬眠していたのに、暖房の熱か暖かい日中に騙されて活動をはじめてしまったのか?教えて欲しい。

ともかく、動いている。久しぶりの昆虫観察の機会。

何者で何をしているのか?知るにはやはり、種の区分を明快にする必要があるのだと思う。そこで持ち出したのは「札幌の昆虫」図鑑であった。

この形状の昆虫で迷うのは「ハエ目」なのか「ハチ目」なのか。

左右の羽を重ねて収納する具合、腰の括れ具合、複眼が離れているから「ハチ目」ではないか?と想像する。小さな生物で、その腹部は良く観察は出来ず。けれど縞模様がある気がした。脚は間違いなく黄色と黒の縞模様だ。特徴的なのは後足のモモの太さ。スピードスケート選手のモモのように太い。これは花粉を集め貯えるための仕組みではないか?と考える。

毛は濃くないので、「コハナバチ科」の『エゾカタコハナバチ』?「ミツバチ科」の『ハリマキマダラハナバチ』か、『アイヌキマダラハナバチ』ではないかと思う。まるで違う可能性は大きいけれど。何れも花粉を集めるらしい。

つまり自然の中で、「w、y、λ」形状の足跡を見つけた時は存在を疑って欲しい。見つけられればだけれど。



ずっと動き続けるので撮れず、ちょっと息を吹きかけた。通常の昆虫なら危険を察知してか触角すら動きを止めるはず・・・ところが、コロリと落ちた。窓の桟に。

寒さに耐えきれず、息を吹きかけられただけで落ちる程に弱っていたのか?

落ちた後で、そこでじっと丸まって動けないのを見ると、実に切ない。なんて恰好だろう?力なく丸くなって動けない様に、つい感情移入してしまう。自分も落ち込んでいる時は、こんな具合だよなー

マクロレンズはこのような小さな対象を撮る時に活躍する。しかし夕暮れ、既に暗い。高感度にしてもシャッタースピードは遅く、絞りを開放にしてしまうので細部まで写せない。目視では小さ過ぎて種の判別は悩ましく・・・ところがこの後、只管歩き続けるのであった。どうやら飛び回る程の力はないらしく、けれどずっと歩き続けた。

花の蜜を用意する事はできないし、せめて水分をティッシュを湿らせてと口元に持って行ったものの、結露した窓辺なら補充は出来るのか興味を示さず止まらない。少し前に観たのと同じ個体なら、ココの環境でも耐えられるだけ十分に強いのかもしれない。

腹部は括れているので食べた物が腹部に行く事は無い気がする。糖分と水分だけで生きる成虫に違いない。今も生きているという事は女王蜂?女性性別はやはり逞しいのかもしれない。勘違いして動き出してしまったものの今も動けているのは種の保存の責務故なのだろうか。写真のハチ?は彼女に違いない。

動かずにじっとしてたなら、水と糖分を用意するので出来るだけ暖かい環境を用意しようと思ったのだけれど、只管歩き続けるので、元居た桟に戻す事にした。

私のアトリエは、散らかっている時は散らかっているけれど、それはデスクの上の事。昨年秋に訪ねて来た後輩は私のアトリエを観て、何も無いですね!?と驚いていた。本棚は廊下に長々と、別の場所にも保管しているので、アトリエ内は2.4m長の2段で机の高さに抑えている。その上に少しだけ載せてるけれど。

床には物陰はあるけれど、小さな生物が安心して過ごせるような隙間は乏しい。どこへ歩いて行ったのか足跡は残されていないし、どこかには居るはずだけれど、こういう時の昆虫の生存のための行動力は凄い。無事に春を迎える事ができるのだろうか?・・・ココで?


私のアトリエにお越しになられる方は、蜂?を見つけても驚かないでね。ペットではなく、期せずして迎えた同居者です。今なら飛ばないし、それが蜂でも刺す事もありません。

※虫が苦手な方もあると思われ、写真は小さく表示しています。気持ち悪い程に鮮明ではないですが。